健康 家族が認知症になったら〜家族も自分も大切に〜

■認知症看護認定看護師
山田 美保(やまだみほ)

「認知症」とは、さまざまな病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障を来した状態をいいます。我が国では高齢化の進展とともに、認知症と診断される方も増加しています。65歳以上の高齢者を対象にした令和4年度(2022年度)の調査の推計では、認知症の方の割合は約12%、認知症の前段階と考えられている軽度認知障害(MCI※)の方の割合は約16%とされ、両方を合わせると、3人に1人が認知機能に関わる症状があることになります。なお、軽度認知障害の方全てが認知症になるわけではありません。

※MCI=Mild Cognitive Impairment(マイルドコグニティブインペアメント)
記憶障害などの軽度の認知機能の障害が認められるが、日常生活にはあまり支障がないため、認知症とは診断されない状態。
MCIの方のうち年間で10%から15%が認知症に移行するとされている。

出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」
【URL】https://www.govonline.go.jp/article/202501/entry-7013.html

認知症になると、何もできなくなるわけではありません。時間はかかっても自分でできることもあります。症状の進行を抑えるためにも自分でできることは自分でしてもらうことも大切です。また認知症になっても普通の人と同じように尊重されたい、元気であれば働きたい、ボランティア活動にも参加したいと思う方も少なくありません。得意だった趣味や家事、仕事のことで相談されるなど、人から頼りにされるだけで、生き生きされることもあります。また笑顔で良い感情が残るように接することも大事です。
日々一緒にいる時間が多いと、同じことを聞かれたり、時には犯人呼ばわりされたりすることもあり、家族も精神的に追い込まれてしまうかもしれません。そのようなときは、無理せずに周囲に助けを求めることも必要です。症状の強弱が「より身近な人に対して、より強く出る」ということがあります。毎日付きっきりで介護してくれる人に一番強い症状を示し、時々しか会わない人の前では案外しっかりしているのが特徴です。裏を返せば、一番安心できる人だから、言いたい放題になってしまうのかもしれません。
介護はゴールが分からないため、いつまでこの状態が続くのだろうかと不安や負担が大きいと感じるかもしれません。まず介護者自身の身体的・精神的・社会的(家庭的)健康が、なによりも大切な基本です。困ったときは、勇気を出して誰かに相談してみることも必要です。一人で抱え込まずに、周囲に協力を求めてください。介護する家族も自分を労わることが必要です。認知症の方のペースを尊重し、失敗を責めずに本人の尊厳を保つことが認知症ケアには大切と言われています。お互い笑顔で心地よい時間を過ごせるよう、周囲の協力も必要です。
認知症についての正しい知識を持ち、助け合える環境をつくっていけるよう、私も微力ながら地域への普及活動を行っていきたいと考えています。院内にいますので、認知症でお困りのことなどありましたら、気軽に声を掛けていただけると嬉しいです。認知症になっても安心して住める地域を一緒につくっていきましょう。

「公益社団法人認知症の人と家族の会」が、チェックシート家族がつくった「認知症」早期発見のめやすを作成していますので、ホームページからご確認ください。
【URL】https://www.alzheimer.or.jp/