文化 Isle Of Cleo クレオの小さな島

国際交流員 ウォン・チンイン・クレオ

◆今月のテーマ 香港の丸鶏料理
寒に入り寒さひとしお厳しくなってきました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
1月と言えば、お正月ですね。今年の旧正月は1月下旬に当たりますので、私のカレンダーだと1ヶ月以内にお正月が2回あります(笑)! お正月の定番料理と言えば、皆さんは何を思い浮かべますか。お雑煮に紅白なます、かまぼこ、お餅やベコでしょうか。旧正月はご馳走をたくさん用意しますので、普段なかなか食べない海の幸や山の幸が食べられる時期ですが、定番中の定番と言えば、鶏です! 中華文化圏ではニワトリは縁起が良いとされていて、祝い事や季節行事の時は丸鶏料理を食べます。丸鶏料理は様々な作り方がありますので、今回は香港でよく食べられる丸鶏料理の紹介をしたいと思います。

◇茹でるまたは蒸す:白切雞(バッチッガイ)
香港の広東料理レストランからローカルのファストフードチェーン店までも提供されている「白切雞」は、丸鶏を下処理してから生姜と青ネギを加えたお湯または鶏ガラスープで茹でます。蒸しても作れます。食べるときはよく姜葱醤(ジャンツォンジャン)(おろし生姜、刻み万能ねぎ、油と塩で作る調味料で、広東語で「薑茸(ギョンヨン)」と呼びます)につけます。鶏本来の味がこの料理の命になるため、作るときは朝引き鶏を使う事がベストです。我が家はこのこだわりがあるため、旧正月の沢山の準備の中、「早朝にウェットマーケットに行って朝引き鶏を買う」ことは重要度の高い項目です。

◇調味料と香辛料を加えた醤油で煮る:油雞(シーヤウガイ)
「白切雞」と同じく、香港で様々な飲食店で食べられる「豉油雞」は、氷砂糖などの調味料と八角などの香辛料を加えた醤油で煮るため、出来上がりの「豉油雞」の皮はキレイな茶色です。「白切雞」と同じく、食べるときは姜葱醤につけて食べる事が多いです。鶏肉が柔らかくて、皮がツルッツルで醤油の香りが漂うのがベストです。

◇皮がパリッとする揚げ鶏:炸子雞(ザージーガイ)
「炸子雞」は、「脆皮炸子雞(チョイペイザージーガイ)」とも言います。メニュー表では「當ドンホンザージーガイ紅炸子雞」と書かれる事が多いです。中華料理では、「炸(ザー)」は「油で揚げる」こと、そして「脆皮」の2文字は「皮目がパリパリ」の意味を表します。しかし、この「炸子雞」は下味を付けた丸鶏を油で揚げるのではなくて、アッツアツの油をかけて作るのです。皮に衣はつけません。様々な調味料で下味付けを2回してから丸鶏を半日程度干して、そして油をかけて作ります。五香粉入りの塩につけて食べると、さらに風味アップです。「炸子雞」は準備するのに時間がかかるもので、結婚式等の宴会の時に食べられる印象が強いです。ああ、久しぶりに「炸子雞」が食べたいな(笑)。前回食べたのは、確か6年前でした…

○クレオの一言
鶏だけではなく魚も同じですが、香港では縁起を担ぐため、旧正月の時は姿焼きまたは姿蒸しを食べます。頭から尻尾まで皿にのせ、「始まりと終わりがある」や「全部そろっていること・一体性」等の意味を表します。

「新一年我祝大家 鴻運當頭!飛黄騰達!」
意味:皆様の新しい一年に運が向き、とんとん拍子で立身出世することをお祈り申し上げます。