しごと ええとこいっぱい 津山自慢(55)

津山の人・物・技術など、明日誰かに自慢したくなる津山のいいところを紹介します

■新作デニムで地元に恩返し 内田縫製(新野山形)
昭和44年(1969)創業のジーンズ縫製会社。海外製品が増え、受注が減った苦しい時代を支えてくれた新野山形の皆さんへの恩返しに、新しく開発した「双糸デニム」のワークウェアをプレゼント。開発を担当した内田直行さんに話を聞きました。

◇始まりは牛舎の2階から
内田縫製は昭和44年(1969)に、わたしの祖父が牛舎の2階にミシンを置き、近所の人たちと立ち上げました。当時は市内に多くのジーンズ縫製工場があり、仕事も豊富にありましたが、1990年代後半から海外製品の流通が増え、受注は大きく減りました。売り上げは最盛期の4分の1まで落ち込み、父の代には市内に残る工場は内田縫製だけになりました。
そんな厳しい状況の中でも、工場で働くお母さんたちは「仕事がのうても田んぼの世話をするけん大丈夫じゃで」と言ってくれたり、忙しい時は遅くまで残ってくれたりするなど支えてもらい、なんとか苦しい時期を乗り越えることができました。地域のお母さんやその家族の支えはもちろん、つやま産業支援センターの支援や、自社ブランドの立ち上げ、日本製デニムの再評価などの追い風もあり、業績は徐々に回復していきました。

◇地域への感謝をデニムに込めて
ブランドの認知度も少しずつ高まりつつある中、地域の皆さんに何か恩返しできないか考えるようになりました。田んぼが多い地元で、農作業などで気軽に使えるデニムを作りプレゼントしようと思い、弟と一緒にクラウドファンディングに挑戦しました。皆さんの支援を受けて完成したのが「双糸デニム」です。通常のデニムは1本の糸を織り上げて作りますが、双糸デニムは2本の糸をより合わせて1本の糸を作ります(=双糸)。これを縦糸と横糸に使うことで、軽くて薄く、丈夫な生地ができました。農作業などでたくさん使ってもらうのが楽しみです。

◇これからも地域と一緒に成長を
れからも地域と一緒に成長を来年の1月、新野山形地内に新しい工場が完成予定で、併設する直営店も3月のオープンを予定しています。インターネット販売のみだった商品も直接手に取ってもらえるようになるので、たくさんの人に来てもらいたいです。父がよく話す「地域の支えがあって今の内田縫製がある。地域の存在無しに会社の発展はない」という言葉を忘れず、これからも地域の皆さんと一緒に成長していきたいです。