- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県吉備中央町
- 広報紙名 : 広報きびちゅうおう 2025年7月号 Vol.249
~町内にある文化財を探訪してみよう~
【吉川八幡宮(よしかわはちまんぐう)「打(う)ち割(わ)り法(ほう)」部材(ぶざい)】
町指定重要文化財(歴史資料)
■解説
絵巻物などを見ると、縦挽(たてび)き鋸(のこ)が使われだす中世以前の日本では、木材を縦に切断する際、鑿(のみ)を打ち込んで材を縦に割る「打ち割り」工法が用いられている様子が描かれています(左下写真参照)。
平成8年10月、吉川八幡宮本殿(応永(おうえい)2年創建、国指定重要文化財)の解体調査の過か程ていで、祭壇(さいだん)中央の根太(ねだ)の一つに、鑿打ちの痕跡(こんせき)がはっきりと残る部材が発見されました。鑿は材に引かれた墨線(真墨(しんずみ))に沿って表裏両面から打ち込まれており、材の側面には、鑿で割り裂さいた跡も残っていました。
これは、それまで絵巻物などでしか分からなかった「打ち割り」工法の実じっ態たいを裏付けるもので、鑿を打ち込みながら割られずに残った木材として国内初の発見でした。
■吉備中央町文化財保護委員からのワンポイントアドバイス
〔沼本龍(ぬもとりゅう)委員〕
吉川八幡宮「打ち割り法」部材(松材、長さ2.5m、厚さ114mm、幅164mm)は、本殿建築の際に鑿のみ打ち作業が施されたものの、何らかの理由で中断され、目に触れることのない床下の根太の部材として使われ、現代まで残ったものです。
この日本の建築史上における貴重な発見となった当部材に関しては、『重要文化財吉川八幡宮本殿保存修理工事報告書』(平成11年)に詳細な調査と分析が記されています。
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