- 発行日 :
- 自治体名 : 広島県熊野町
- 広報紙名 : 広報くまの 2025年6月号
■筆の里工房の“これまで”と“これから”
―筆の里工房では、これまで筆に関する文化的な背景を積極的に発信しようと努めてきましたが、どのようにご覧になっていますか。
筆を中心とした文字文化や歴史の発信は、熊野町ならではの魅力として非常に大切な部分だと思います。また、町の発展のためには、移住や定住を促すことはもちろんですが、多くの人に訪れていただくことが活性化のために最も大きな要素となるのではないでしょうか。
これからも、筆の里工房から情報を広く発信し、多くの来訪者に良い思い出をつくってもらえるような施設づくりを目指してもらいたいですね。
―現在の筆の里工房は、博物館・美術館・図書館の3つの機能を備える施設として、収蔵品も充実しつつあります。また、来年には、創作体験の機能を担う新施設が完成します。
これからの取り組みや運営などについて、どのようなことが期待されるでしょうか。
創作体験メニューをどんどん増やしていくことが大切でしょう。日本唯一のテーマ性を有する施設ですから、外国からの誘客も期待できます。
筆の里工房には、町の将来を担う若い人たちに、筆や筆の文化に興味関心を抱いてもらえるよう、育成につながる取り組みに注力されることを期待します。新施設の運営には、若い人たちの声を柔軟に取り入れ、引きつける魅力づくりに努めてほしいと思います。
■熊野筆が県の“無形民俗文化財”に指定されました
熊野筆の伝統的な製作技術は、熊野筆伝統工芸士会が保存にあたる『熊野地域の筆製作技術』として、令和7年5月1日付けで、広島県無形民俗文化財に指定されました。
江戸末期に始まった熊野での筆づくりは、穂首には獣毛、軸には竹といった自然材を主たる原材料に用い、熟練職人の手作業で製作されてきました。
近代以降は、学校教育の普及により、毛筆の需要が急激に高まりました。そんな中、高い品質の筆を大量生産する技法や、工程ごとに分業する問屋制家内工業によって生産効率を高め、日本一の筆産地となりました。
▽熊野筆伝統工芸士会 会長・實森康宏さん
『熊野地域の筆製作技術』が県の“無形民俗文化財”に指定され、熊野筆伝統工芸士会がその保存団体として、技法・技術を受け継ぎ、向上させ、未来の熊野町へと伝承する役割を担ってまいります。
私たちは、日ごろの筆製作に加え、筆司会での後継者育成や、筆の里工房での実演や体験指導などに、今後も力を注いでいきます。
▽熊野筆事業協同組合 理事長・竹森臣さん
本年は、『熊野筆』が、国の“伝統的工芸品”に指定されてから50年の節目。そして、来年は、『書道』のユネスコ無形文化遺産登録に期待がかかります。
今般、県の“無形民俗文化財”の指定を受けたことは望外の喜びです。
今や熊野町は、その技法を礎に、筆類すべてにわたる一大産地となりました。組合員一同、さらに精進してまいります。
7月号では、文化芸術のまちづくりを進める組織「KumanoCreativePalette(クマノ・クリエイティブ・パレット)」の最新の活動や、「熊野町の観光を考える会」の取り組みなどについてお届けします。
・これまでの「〔連載特集〕つながるつなげる」は、町ホームページでご覧いただけます
問合せ:
[公園について]都市整備課【電話】820-5608
[施設について]産業観光課【電話】820-5602