- 発行日 :
- 自治体名 : 広島県熊野町
- 広報紙名 : 広報くまの 2025年10月号
わずか75年後には、日本の人口が今の半数に減少すると見込まれるなか、“ふるさと熊野”を子や孫に残すために、私たちには今できることがあります。
個性豊かな文化を活かした魅力的なまちづくりも、移住する場所、住み続ける場所として人々をまちに惹き付ける大切な取り組みの一つのはずです。
熊野町は筆産業とそれにより培われた文化芸術が息づくまちです。このソフトパワーを活かし、この地に住む人々がつながり、まちと文化を未来につなげるため、都市公園と観光交流拠点施設の建設を進めています。
■子どもと子育てを対象とした美術館・児童館での事例を紹介します!
国内の美術館や大型児童館などには、子どもや子育て世代を対象とした先進的なプログラムを取り入れている施設があります。
新施設では、そういった子どもや子育て世代を対象とした創作体験など各種芸術活動のプログラムが実施できるよう、筆の里工房の学芸員を中心に、他施設の事例や育児にかかわる人の意見などを参考にしつつ、本町の文化的背景を踏まえた独自のコンテンツづくりに取り組んでいます。
◇兵庫県立こどもの館
1989年7月開館。JR姫路駅からバスで約20分。森林や湖水など自然豊かな環境に立地していて、周辺には、天文台を備えた宿泊型児童館「星の子館」などがある。
豊かな自然の中にあるこの施設では、『遊びの発見』と『遊びの創造』をテーマに、季節を感じられるしつらえを行い、また、家族で体験できるさまざまな遊びや運動を通して子どもたちの“生きる力”、“豊かな感性”、“たくましい身体と心”を育むことを目的に、事業を展開しています。
館内には、牛乳パックやペットボトルなどのリサイクル素材を使って、自由に工作ができる工作室や親子遊戯室、図書室などのほかに、親子でのんびり食事や休憩ができる「おべんとうひろば」もあります
◇讃岐おもちゃ美術館
2022年開館。JR高松駅から徒歩13分。子育て支援の場として認定NPO法人が運営する体験型ミュージアム。木製おもちゃでの遊びやおもちゃ作りなど、おもちゃを通して多世代と交流することができる。
この施設では、『おもちゃ学芸員』と呼ばれるボランティアスタッフが、“遊び案内人”として来館者とおもちゃを結ぶ架け橋となり活躍しています。
館内には、0~2歳と保護者専用のスペースの「赤ちゃん木育ひろば」や、本物の木に触れ、香りも感じながら遊べる「さぬきのもりひろば」などがあります。
また、さまざまなワークショップを実施している「おもちゃこうぼう」では、ものづくりの楽しさが体験でき、香川の自然の豊かさや魅力が提供されています。体験プログラムの中には、幼稚園や特別支援学校と連携したものなどもあります。
◇さぬきこどもの国
1995年開園。体験型の遊びを通して、子どもたちの心身の健やかな育ちをサポートする香川県唯一の大型児童館。高松空港に隣接する広大な敷地の中央部には、芝生広場に隣接した3階建ての『わくわく児童館』がある。
『わくわく児童館』の1階には、いろいろな素材を使って多様な創作を自由に楽しめる「美術工房」や、実験などを通して科学の面白さを発見できる「科学工房」があります。
体験プログラムは、基本無料で体験でき、受付で材料と作り方をわかりやすく図示したプリントを受け取り創作します。低年齢でも15~30分で創作できるスタイルをとることで、子どもたちの主体性を育んでいます。
高校生から80代まで、幅広い年代のボランティアも活躍しています。
◇兵庫県立美術館
1995年の阪神・淡路大震災で被害を受けた兵庫県立近代美術館を継承する形で、“文化の復興”のシンボルとして2002年に開館。愛称は『芸術の館』。
多様なジャンルの作品に触れることのできるこの美術館には、芸術活動の積極的な展開を通じ、21世紀の都市生活の共通課題である“人間のこころの豊かさ”の回復・復興、特に未来を担う子どもたちの感性を守りたいという強い願いが込められています。
さまざまなイベントが実施されており、展覧会開催中には、鑑賞や制作を中心とした「こどものイベント」など、美術作品と楽しく出会えるさまざまな子どものためのプログラムが実施されています。
◇高松市美術館
1988年開館。改修工事ののち2016年にリニューアルオープン。中央商店街に近接し、利便性が高く、現代的なスタイルと落ち着いた雰囲気を持つアートスポットとして市民に親しまれている。
“未来を担う子どもの創造性を育む取組”をミッションの一つに掲げるこの美術館には、教育普及活動の一環として、子どもやその保護者が気軽にアートを楽しむことができる「こどもアートスペース」が設けられています。開館時間内であればいつでも室内にある材料や道具を使って工作を楽しむことができます。
また、図書コーナーには、子どもたちが楽しめる美術図書や絵本も置いてあり、自由にます。閲覧することができます。
今回ご紹介した5つの施設では、創作系プログラムで使用するハサミやのり、セロハンテープ、色紙などが準備されていました。また、段ボールや厚紙の箱、飲料・食品の容器などといったさまざまな廃材は、地域住民からの持ち寄りによってまかなわれていました。そういった創作材料の充実や、運営をサポートするボランティアの存在が、子どもたちの自由な発想力や創意工夫による造形活動を支えていることがわかりました。
新施設の運営では、これらの先進事例を参考に、“くまのらしさ”があらわれるプログラムづくりを進めていきます。
11月号では、建設工事の現状と、新施設での和文化継承の取り組みについてお知らせします。
・これまでの「〔連載特集〕つながるつなげる」は、町ホームページでご覧いただけます
問い合わせ先:
[公園について]都市整備課【電話】820-5608
[施設について]産業観光課【電話】820-5602
