- 発行日 :
- 自治体名 : 山口県下関市
- 広報紙名 : 市報しものせき 令和8年1月号
▽ホテルが果たす役割
星野:私たちが新規に展開するときに重視するのは「既存のホテルと競合しないこと」です。単価を下げると、パイの取り合いになるだけですから。地域の経済効果を高めるには、新しい需要を生み出していかなければなりません。そこも何回か計画が変わった要因の一つです。下関には素晴らしい観光資源があります。狙うべきは、ビジネス客ではなく、リゾート・観光客。3世代のファミリーでも過ごせる設計にすれば、結果的に部屋単価が上がり、既存のビジネスホテルとは直接競合しない存在になり得る。むしろ補完関係を築けます。
市長:宿泊客は、ホテルのレストランで食事をするんでしょうか。ホテルの外で食事されることを、市内の飲食業が期待していますが。
鈴木:ホテルのレストランだけでは、すべての宿泊者を賄えません。周辺に飲食店も多いので、そもそも宿泊プランに食事は付けていません。
市長:えっ?
鈴木:宿泊者の4割程度が周辺の飲食店を利用されると見込んでいます。
星野:今後の観光を考える上で大事なのは「連泊」です。
市長:1泊にとどまらず、2~3泊することだと。
星野:ええ。泊数が増えるほど、ホテル内で食事をする人が減っていくんです。毎日、同じレストランに行くよりも周辺の飲食店に行ってみようとか、そういう時間も余裕も生まれる。地域との連携は自然と強まります。
鈴木:星野リゾートでは、宿泊者用のアクティビティを充実させるなど、連泊を強く促進しています。
星野:さらに、連泊は、SDGsにも沿います。観光産業が出している二酸化炭素は、半分が「移動」です。例えば、年間10泊の観光旅行をする人が、1泊を10回ではなく、2泊を5回にしてもらうと、1泊当たりの二酸化炭素排出量が半分になります。移動コストも同時に減るので同じ予算で旅行回数を増やすこともできます。また、消費の仕方にも変化が現れます。旅行金額の約3分の1は交通費なんです。これは、JRや航空会社の収益で、地元には落ちません。連泊が増えるほど観光消費の多くが地元に回る。SDGsにも地域経済にも良い構造です。観光地経営にとって重要な視点です。
市長:私は、多くの方に、この関門海峡の景色をゆっくり見てほしいと、ずっと思っていたんです。関門海峡は、1日に何度も流れが変わるし、朝夕夜とで趣が変わり、いろんな船舶が通航します。連泊して、いろんな表情をじっくり見てほしいですね。
鈴木:海響館、唐戸市場、船で巌流島や門司港へ。火の山公園もあるし、1泊では到底足らないです。
星野:魅力が一つずつ磨かれれば、地元への経済効果は大きく変わると思いますね。
▽下関観光の未来
市長:最後に、この街への期待をお聞かせください。
鈴木:街の方々から温かい声を多く頂き、すごく応援していただいています。裏切れないという感覚で、地域にとってプラスになる形を追及していきたいです。
市長:星野リゾートは、地域に入り込んでくださるのが魅力だと思っています。今日も、スタッフの皆さんの笑顔、柔らかいウェルカムな雰囲気、素晴らしいですね。下関市民の意識も変わるんじゃないかなと思っています。
星野:一つのホテルだけで地域が良くなるわけではありません。マスタープランをさらに進めていくことが大事で、その機運を高めるために「下関には日本を代表する観光地になるポテンシャルがある」と示す役割があると思っています。そして、ハード面の充実だけでは持続可能な観光地にはなりません。ソフト面を継続的に進化させていくには、DMO※の機能が非常に重要です。今後、その活動にも関わっていきたいと考えています。
市長:本日は、貴重なお話をありがとうございました。
※DMO…観光地域づくり法人。地域の観光資源を生かし、戦略づくりから運営、情報発信まで一体的に担う組織。行政・民間・地域が連携し、持続可能な観光地経営を進める役割を持つ。
・グルメ
メインダイニング「OTTO SETTE SHIMONOSEKI」
ビュッフェダイニング「PUKU PUKU」
どちらも下関ならではの食体験が楽しめる内容になっている。メインダイニングでは、デザートと前菜以外はすべての料理にフグを使用したイタリア料理のコースを提供し、今までにない新しいフグ料理を楽しめる。ビュッフェではフグを使った料理はもちろんのこと、郷土料理の瓦そばなど、豊富なメニューが用意されている。
・アクティビティ
〔海響館講座〕
海響館が世界一の“ふく”の展示種数を誇るという特徴を生かし、フグにフォーカスした講座で、つい海響館に見に行ってみたくなるような内容に仕上げ、周辺観光を促進する。
〔はじめての関門海峡〕
海船の交通ルールを楽しみながら学べる内容だ。
・ふぐプール
〔インフィニティプール〕
水面が海や空と一体となるような設計。プールの水には関門海峡の海水も一部使用されている。
〔全天候型屋内プール〕
大胆で遊び心のあるデザインの全天候型屋内プール。
・Books and Cafe(宿泊者以外も利用可)
窓からは関門海峡が見える開放的なカフェ。
海の生き物や下関にまつわる書籍などおよそ500冊の本を自由に読むことができる。オリジナルのカップケーキとドリンクのセットなどを楽しみながらくつろぎの時間を過ごせる。
