健康 うちのお医者さん[190]「入れ歯ケア」とても大事ですよ!

吉野町柿原ほそかわ歯科医院 細川浩良(ほそかわひろよし)先生
少子高齢化が進む我が国において、2025年は「団塊の世代」全員が75歳以上の後期高齢者となり、日常的な生活支援や医療・介護などのニーズのある方が急増するとされています。
2022年の厚生労働省「歯科疾患実態調査」によれば、80歳で20歯以上の歯を有する8020(ハチマルニイマル)達成者割合は、年々増加傾向にあります(グラフ参照)。しかしながら、2016年から2022年調査にかけて8020達成者は50%程度で横ばい状態にあり、まだ半数近くの方が20歯未満で、何らかの義歯(ブリッジ、部分入れ歯、総入れ歯)を使用しています。また、80歳以上では約30%が総入れ歯を使用しています。
近年、高齢者の全身の健康は、お口の衛生状態と密接に関係があるとされ、とりわけ「入れ歯ケア」の重要性が認識されつつあります。例えば、入れ歯の清掃不良は口内炎の原因となるばかりか、誤嚥性肺炎などの致命的疾患とも関係するため、普段からの「入れ歯ケア」が重要です。

■「入れ歯ケア」のポイントを列挙します。
(1)入れ歯を口から出したあとは口をゆすぎ、やわらかい歯ブラシなどで歯ぐきや舌についた汚れを除去します。歯が全くない総入れ歯の方も、お口の中のブラッシングは必要です。
(2)入れ歯も毎食後外して専用のブラシ(歯ブラシでも構いません)で洗いましょう。ばねの部分もしっかり磨きましょう。
(3)入れ歯安定剤にも細菌が付着するので就寝前に除去しましょう。
(4)就寝前は、入れ歯を外して入れ歯洗浄剤で消毒しましょう。熱湯消毒は入れ歯変形の原因となりますので避けましょう。
(5)消毒後は、入れ歯洗浄剤を洗い流してからお口の中に入れましょう。
(6)入れ歯の安定が悪くなっていないか定期健診をしましょう。

そのほか「入れ歯ケア」でお困りのことがございましたら、ぜひかかりつけの歯科医院にご相談ください。

80歳で20本以上の歯を有する割合の年次推移

*80歳の割合は、75歳以上85歳未満の20本以上歯を有する者の割合から推計
*2022年厚生労働省「歯科疾患実態調査」のデータをもとに作成

このコーナーは阿波市医師会・阿波歯科医師会・板野歯科医師会のご好意により提供いただいた原稿を掲載しています。