しごと 由岐若衆-ゆきわかいし

-早朝の由岐漁港。潮の香りが漂うなか、水揚げされたばかりの魚を前に、真剣な眼差しを向ける若者たちの姿があります。
「魚の価値は、自分たちで守り、育てていく。」そんな想いから立ち上がった由岐若衆―。
漁業の未来を見据え、自ら流通に関り、食害魚の新たな価値創出にもチャレンジしています。
今回は、由岐漁業協同組合で新たな取り組みに挑む由岐若衆の皆さんにお話を伺いました。

■由岐漁業協同組合「由岐若衆」
由岐若衆は、由岐漁協の販売部として、主に40歳以下の若手漁師を中心とした7名で構成され、今年4月から本格的に活動を開始しました。
発足のきっかけは、昨年夏から秋頃に由岐地区で開かれた漁業者同士の意見交換会です。将来の漁業に対する危機感を共有した若手たちが、「自分たちの手で由岐の漁業を活性化し、魚の価値を高めよう。」と決意し、結成しました。

■漁師自らが売る、流通の改革
由岐若衆は、これまで介入しなかった入札に参加することで、漁協自らが魚を買い戻せる体制を整えました。この取り組みによって仲買業者間の競争意識が高まり、魚の販売単価の引上げへとつながりました。
買い戻した魚は大阪のスーパーマーケットなどに持ち込み、直接販売しています。こうした工夫により、魚の価格は従来の2~3倍になることもあり、漁協全体の利益向上にも貢献しています。また、販売先と直接やり取りをすることで、消費者が求める魚種や加工方法などのニーズを把握しやすくなり、今後の商品開発や販路拡大にも役立てられています。

■食害魚に新たな価値を
さらに由岐若衆は、これまで市場に出回らなかった食害魚の活用にも取り組んでいます。色味や形が理由で市場に出回らなかった魚に加工を加え、新たな商品としての価値を生み出し、消費者のもとへ届けています。
たとえば、これまで流通しにくかったブダイは唐揚げに加工して販売。今年3月には大阪で開催されている万博に出店し、2日間で200食を売り上げ、好評を得ました。こうした食害魚の活用は、漁場の環境を守りながら、持続可能な漁業にもつながっています。

■次世代へつなぐ、由岐の海
漁業を取り巻く環境は、価格の低迷や担い手の高齢化など、厳しさを増しています。そんな中、「自分たちが獲った魚に新しい価値を加えながら、漁師という仕事の魅力や想いを、たくさんの人に届けたい。今後の漁業の在り方を切り拓いていきたい。」と話してくれました。由岐若衆の挑戦は、始まったばかり。今後の活動に注目です。

由岐若衆の活動や最新情報は、HPおよびInstagramで随時発信しています。
気になる方はぜひ、チェックしてみてください。