文化 ウミガメ News Letter No.46

■立島とお月さん
日和佐うみがめ博物館カレッタの新しい展示をもう一つ紹介します。1階エレベーター横に設置された大きなモニターです。普段は、海の中を悠々と泳ぐアカウミガメの映像が流れていますが、その前に立つと画面が切り替わり、約5分間の絵本風アニメーションが始まります。訪れた人だけが体験できる、ちょっと特別な仕掛けです。このアニメーションにはタイトルはありませんが、ここでは仮に「立島とお月さん」と呼びましょう。舞台は美波町の大浜海岸。そこにある立島と、空から見守るお月さんが語り合うところから物語は始まります。二人の会話の中心は「最近ウミガメをあまり見かけなくなった」ということ。立島の「いったいどこに行ってしまったのだろう?」という問いに、お月さんは答えます。自分は地球を見渡しながら、世界中でウミガメたちがどう生きているかを知っているのだと。そこでお月さんは魔法をかけ、立島を生まれたばかりの子ガメに変身させるのです。子ガメとなった立島は、砂浜から海へと必死に駆け出します。なぜそんなにも一目散に沖をめざすのか、沖に出た後にどのように太平洋へ広がっていくのか。広い海でどのように成長し、どれほど長い年月をかけてふるさとの浜へ帰ってくるのか。お月さんの優しい語りに導かれながら、観る人はウミガメの一生を追体験することができます。映像の語りは地元ならではの阿波弁で親しみやすく、字幕は日本語と英語に対応。海外からの来館者にも楽しめる工夫がされています。最新の研究成果が盛り込まれたストーリーは、学びながら心に残る絵本を読んでいるよう。子どもにも大人にもおすすめできる内容です。ほんの5分間の短いアニメーションですが、見終わる頃にはきっと、ウミガメの旅の大きさと神秘に思いを馳せることでしょう。まだ体験されていない方は、ぜひ博物館を訪れ、アカウミガメ目線(立島)の世界に足を踏み入れてみてください。
館長:平手康市

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〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦369うみがめ博物館カレッタ「質問係」

■Question
ふ化した子ガメが目指す夜の水平線が明るいのはなぜですか?

■Answer
地球は、金星、火星、木星などと同じ太陽の周りをまわる惑星で常に太陽の光を受けています。その光が地球の大気で乱反射しているため夜でも水平線がうっすらと明るく見えます。この時、光の中でも青色の光がより乱反射しやすいので、日中の空は青く見えます。