しごと 挑戦するかがわのものづくり企業(79)

◆株式会社ユーミック
住所:高松市新田町甲91-1
設立:1966年
従業員数:56人
【電話】087-843-1313
【URL】https://www.u-mic.co.jp/

外来語のように聞こえる「めっき」、実は「鍍金(ときん)」「滅金(めっきん)」とも言う日本語です。化学反応の面白さに満ちた電気めっき技術を軸に、最先端の可能性を探る香川のものづくり企業を紹介します。

■素材の性能を高める表面処理「めっき」の最前線
◯現代のめっきは剥がれない
食器やアクセサリーなどの装飾品、スマホやパソコンなどに使われる電子部品、自動車や航空機の部品に至るまで、さまざまなものに施されている「めっき」。物体の表面を薄い金属の膜で覆う表面処理の一種で、サビを防ぐ、装飾性を高める、光反射性・耐摩耗性・通電性などの機能性を高めるといった目的に応じて、被覆(ひふく)する金属の種類や処理方法を使い分けます。
ユーミックはその中でも、「クロム」という金属で表面を被覆する「硬質クロムめっき」を得意とする企業。硬質クロムめっきは被覆されたものの機能性を高める「機能めっき」の一種で、硬く摩耗に強い、汚れにくい、摩擦が少なく滑りやすいといった特長があり、建設機械、食品充填機、繊維・紙・フィルム等の製造機械設備などの工業分野で高いニーズがあります。めっき専業企業は四国で十数社ありますが、小さいものから大きいもの(10メートル以上)まで幅広く対応できる同社の生産体制は、全国有数といえます。
「わずかな量の金属で、表面に高い機能性を施すことができるのがめっきの魅力」と、代表取締役社長の上村芳久(うえむらよしひさ)さん。めっきが剥がれる、という言葉は『めっきが悪い本性を覆い隠している』『めっきの品質が悪い』ようにも聞こえますが、実際は『素材の表面性能をさらに高める』ために施すものだと語ります。「技術も素材も進歩した現代のめっきは剥がれませんよ」。

◯新分野にも応用の可能性
めっきしたいものを金属イオンや薬剤を調合した「めっき液」に浸し、「水の電気分解」と同じ原理を応用して表面に金属の薄膜を形成する手法を「電気めっき」と呼びます。1〜数百ミクロン厚で顧客の求める機能を実現するには、液の成分や濃度、温度とともに、槽内の「電流の流れ方」を最適にコントロールする電極の配置も重要なポイント。機械化も進んではいますが、まだまだ職人の感覚と経験が求められる世界です。
さらに、高精度な処理が要求される場合は、めっき前の下処理として、寸法などの正確性を高める「研削」や、削った表面を滑らかに整える「研磨」といった機械加工が必要になります。機械加工の精度がめっきの仕上がりを左右するため、加工設備を多数そろえ、素材の下地処理からめっきまでの一貫加工体制を確立しているのも、同社の大きな強みです。
「世の中にはめっきをしなければ性能を発揮できないものがたくさんあり、あらゆる産業に欠かせない基礎技術です。これから台頭する新分野に向けても、いろいろな提案ができるでしょう」と語る上村さんは、技術の向上と継承にも意欲的。「次世代の技術者をしっかり育てつつ、硬質クロムめっきだけでなく、複合的な技術や、めっきによらない表面機能向上技術も模索していきたい」と、展望を語りました。

◎ピカピカに仕上がった硬質クロムめっき
◎研削後の精度を測定器で確認
◎硬質クロムめっきのほかに同社が手掛ける「無電解ニッケルめっき」の自動ライン
◎「技術は入社してから学べる。化学反応で変化するめっきの面白さを味わって」と上村社長(最後列右から3人目)
◎腐食やサビに強いニッケルを、電気を使わずめっきする「無電解ニッケルめっき」の加工中画像
◎めっき液は腐食に強いチタン製で強固なピットに収納され、環境対策にも力を入れている
※詳細は広報紙8~9ページの写真をご覧ください。

問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団 取引支援課
【電話】087-868-9904