くらし 持続可能な観光地として世界のTOP100に選出 世界が認める父母ヶ浜
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- 自治体名 : 香川県三豊市
- 広報紙名 : 広報みとよ 令和7年11月号
今や三豊市だけでなく香川県を代表する観光地となった『父母ヶ浜』。このたび、2つの栄誉ある表彰制度に選ばれましたのでご紹介します。
■「持続可能な観光」の取り組みを評価する国際的な表彰 GREEN(グリーン) DESTINATIONS(ディスティネーションズ) TOP(トップ) 100 STORIES(ストーリーズ)
オランダに本部を置く国際認証機関グリーン・ディスティネーションズが、世界中から応募された環境保全や地域社会貢献などの『持続可能な観光』の事例を評価し、優れていた100のストーリーを選出・世界へ発信しています。
世界中から優良事例が集まる舞台で、父母ヶ浜の取り組みが高く評価され、三豊市が選出されました。
◇評価されたカテゴリー“観光地管理”
観光地全体の管理体制や地域住民の参加などが評価されました。
◇評価者のコメント
地域コミュニティを中心とした活動と効果的なマーケティングアイデアが、どのように観光地を活性化させることができるかを描いた、独創的なストーリーである。
◇受賞ストーリー 守り続けた海岸、奇跡の再生
今では『天空の鏡のような景色』と話題の父母ヶ浜ですが、1990年代には埋め立て計画が浮上し、浜が消えてしまう危機に直面しました。そのとき立ち上がったのが、地元住民による『ちちぶの会』でした。一度失えば二度と戻らないという思いから、“ささやかな抵抗”として始めた清掃活動は、雨の日も雪の日も続けられました。やがて埋め立て計画は中止になりますが、その後も清掃活動は続けられ、30年の歳月を経て美しい浜が守られてきました。
大きな転機が訪れたのは2017年。写真コンテストに応募された1枚の水鏡(みずかがみ)の写真がSNSで広まり、来訪者はわずか6年で、5,000人から50万人の約100倍に増加。父母ヶ浜は、観光産業を生み出すまでに成長しました。さらには、協力金制度や環境学習など、地域住民と観光客が協力して自然を守る『共創のかたち』が生まれています。
―未来へつなぐ、市民の誇り
7人での清掃活動から始まった『ちちぶの会』には、今では300人以上が参加し、観光客も一緒になって浜を守っています。
2023年には維持管理のための協力金制度も始まり、来訪者が海岸保全に寄与できる仕組みが整いました。市民1人ひとりの小さな行動が、地域の未来を形づくり、世界に誇れる景観を育んでいます。
■三豊らしいサステナブル※な観光をめざして
父母ヶ浜の取り組みは、市が第2次総合計画に掲げる『魅力的な観光地域づくり』と深くつながっています。第3次観光基本計画でも、自然や景観を大切に保全する三豊らしいサステナブルな観光が柱として示されており、父母ヶ浜はその象徴的なモデルです。
サステナブルな観光先進地化を進める具体的な実践として、その品質を可視化するため、さらにグリーン・ディスティネーションズによる持続可能な観光地の国際認証取得をめざします。
※サステナブルとは…「持続可能な」という意味。誰もが安心して暮らし続けられる社会をめざす概念。
■豊かで持続可能な自然環境の保全の実現に向けた取り組み『自然共生サイト』にも認定されました
環境省が、民間などの取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域を認定する制度です。生物多様性を維持・回復・創出するための計画を作成し、認定された区域を『自然共生サイト』と呼びます。
サイト名:父母ヶ浜
面積:32.8ヘクタール
生態系タイプ:干潟、砂浜
◇評価されたポイント
美しい景観と豊かな生態系、そして長年にわたる『ちちぶの会』による浜の清掃を中心とした保全活動が評価されました。
◇多様な生物が息づく浜
父母ヶ浜には、全国的に減少傾向にあるハマヒルガオやハマボウフウなどの海浜植物や貝類・甲殻類など、多種多様な在来動植物が生息しています。
観光だけでなく、地域の子どもたちの環境学習の場としても利用されています。
問い合わせ:環境衛生課
【電話】73・3007
■2つの表彰を受けて…末永くみんなに愛される浜に
今回父母ヶ浜が2つの表彰をもらい、とても嬉しく思うとともに、継続する力を身に染みて感じました。「この浜をきれいにしたい」という思いだけで30年間続けてきましたが、正直、このように注目されるような場所になるとは思ってもみませんでした。
毎月第1日曜日の早朝に行っている清掃活動は『無理せず楽しく』をモットーに、来たい人が気軽に参加できる形で続けています。最近では、県外からの参加者や突発的に参加してくれる観光客もいて、活動の輪が広がっています。また、観光客の皆さんもゴミなどを落とさずきれいに、浜の景色を楽しんでくれていると感じます。
里山があり、里海があり、人の心を穏やかにしてくれる―そんな変わらぬふるさとの風景を、これからも守り続けていきたいと思います。
問い合わせ:産業政策課
【電話】73–3012
