くらし 人権・同和教育シリーズ 118

■「差別解消に向けて、障がい児の家族の立場で何ができるか」
~人権・同和教育推進者研修会に参加して~

真穴保育所 三好 美緒

重症心身障害の現在29歳の息子がいる岩井正一さんを講師に迎え、講演が行われた。岩井さんは、南宇和郡愛南町(旧一本松町)で暮らしている。約30年前は、道路状況は今よりも悪く、重度の肢体不自由と知的障害がある息子さんの通院もさぞ大変だっただろうと思う。都市部に比べ、地方では、受け入れられる病院や得られる情報も少なく、孤独感や不安感は想像をはるかに超えるものだっただろう。
そのような中、岩井さんはさまざまな出会いをきっかけに動き始めた。障がいのあるこどもの存在を地域社会に明らかにし、ありのままの自分たちの姿を見てもらうことで、周りの方々に賛同してもらい、支援や応援をしてもらえるようになった。全国でさまざまな会に参加する岩井さんの「遠いこと(住んでいる場所)を言い訳にしてはならない。逆に売りにすれば、印象に残り有利になるかも」という言葉が、自分の置かれた環境をそのまま受け入れてしまっている私の胸に響いた。「できることがあるかもしれない」と頑張って、自分から新しい一歩を踏み出すことも大切だと思った。
また、「社会にどれだけ貢献できるかで価値が決まる、貢献重視型人間観という考え方ではなく、その子のもっている能力を最大限に引き出し、一生懸命生きていることの素晴らしさを、認める人間観に見直していくべきだ」という言葉にもはっとさせられた。「そうだ、人それぞれの良さを大切にしないと!」岩井さんの言葉により、私の中の固定観念による無意識のうちの偏見に気付き、心が揺さぶられた。
研修に参加するたびに、新しい考え方を学び、知ることができる。一人では微力でも、新しく知ったことや感じたことを、周りの人にも伝え、これからも共に考え学び続けていきたいと思う。