くらし 特集 本との出会い、本のある暮らし(2)

■高瀬さんの人生を彩ってきた本はこちら
「なんて素敵にジャパネスク」(集英社)氷室冴子
作者の氷室さんが大好きで、小学生の頃によく読んだシリーズです。

「菜食主義者」(クオン)ハン・ガン
昨年ノーベル文学賞を受賞したハン・ガンさんの作品。ハン・ガン作品はどれも好きですが特にこの一冊がおすすめです。

「妖怪レストラン」(童心社)松谷みよ子
小学生の時、大好きだった本。怪談レストランシリーズの本は、実家に何冊もありました。

「にぎやかな部屋」(新潮社)星新一
初めて買った文庫本が星新一さんの作品。子どもの頃と大人になってからでは違う味わいで読めます。

「マザーズ」(新潮社)金原ひとみ
大ベテランの作家さんですが、年々すごさを増しているように思います。作風は変わっていきながら、現代にコミットしている作品を書かれています。

いずれの作品も図書館で貸し出し可能です。高瀬さんの本との出会いを追体験してみませんか。

■講演会後にはサイン会があり、ファンとの交流も!
~ファンの声を聞きました!~

・高科芽依さん 愛媛大2年
私も西高出身なので、高瀬さんが芥川賞を受賞した時、卒業生にすごい作家さんがいるんだとびっくりしました。講演では、新居浜の自然が小説に反映されていると話していたのが印象的でした。

・合田美由紀さん(53)
若い感性と新しい視点がすごい!芥川賞受賞までにはものすごい努力があったんだろうと思っていましたが、10年間も下積みがあったと聞いて、続けることって大事だなと思いました。

・稲見有さん(54)
日常の人間関係や感情の機微を細やかにとらえた作品が魅力。作品の裏話が聞けるかなと思って来ました。心に残っているのは、登場人物には100%の善人も100%の悪人もいないという話です。

・藤田義人さん 新居浜西高2年
新居浜から芥川賞作家が生まれ、その人の講演が地元で聞けるのはめったにできない経験だと思います。僕も小説家になりたいので、作家になるまでのことや必要なことが聞けて良かったです。

・福田結子さん 愛光高2年
作家として活躍している高瀬さんの話は、本を読む側としても面白かったです。
聞いていると、自分も書いてみたいなという気持ちが湧いてきました。

■著書紹介
「おいしいごはんが食べられますように」(講談社)
第167回芥川賞受賞作品。
日常の一場面に潜む職場の微妙な人間関係や心理を機敏にとらえた作品であり、仕事+食べ物+恋愛を通して描いた傑作。タイトルと本の装丁からは想像できない内容に、いい意味で裏切られます。

「犬のかたちをしているもの」(集英社)
愛と生殖について切実に描いた衝撃のデビュー作。第43回すばる文学賞受賞。
田舎と都会、出産と未婚。女性ゆえの心の葛藤と戸惑いが映しだされた、今の時代の心の揺れを如実に描いた作品。

「いい子のあくび」(集英社)
子どもの頃から「いい子」であるよう気を配り続けてきた主人公の直子は、その反面、割の合わなさも感じている。ところが、ある行動を起こすことによって、それぞれの思惑が明らかになっていく。

「水たまりで息をする」(集英社)
ある日、夫が風呂に入らなくなった…。日常のどこかに沈んだ“苦しさ”のかけら。それでも人は、なんとか息をして生きていく。そんな小さな心の動きをすくい上げるように描いた物語。

■祝 高瀬作品映画化 
高瀬さんが2023年に発表した「うるさいこの音の全部」が映画化され、2026年冬に公開予定です。
監督は加藤慶吾さん、脚本は本県出身の村上かのんさんが務めます。
高瀬さんは「いい作品になると思います。観てくれると嬉しいです」と、自身初の映画化に胸を躍らせていました。

夢をかなえた古里の先輩として、地元の子どもたちへのメッセージをもらいました。

「みんながみんな夢を持つべきだとは思っていませんが、あった方が楽しいですよ。必ずしも職業である必要はなく、太鼓台のかき夫になりたいとか、地元に住み続けたいとか、世界一周したいとか。自分の心がときめくことを、何個か持っていると楽しいと思います。絶対かなえなきゃと思うとしんどくなるので、諦めても、辞めても、変更してもいい。柔軟に人生をポジティブにできる目標があるといいなと思います。」

・「うるさいこの音の全部」(文芸春秋)
小説家デビューという「変化」が、人との距離感や周囲との価値観のズレを浮き彫りにし、私小説のようなリアルさを通して、物語の虚構と現実が交錯する。芥川賞作家高瀬隼子が作家デビューの舞台裏を描く。