健康 [PICK UP]心臓のSOS 見逃さないで

■症状がない“今”こそ予防のチャンスです。
心不全は、心臓のポンプの働きが低下し息切れやむくみが起こり、命を縮める病気。愛媛県は、女性の心不全死亡率は全国1位、男性の心不全死亡率は全国2位という状況です。心不全にどう向き合っていくべきか、愛媛大学大学院 井上 勝次(かつじ)教授にお伺いしました。

・井上 勝次 教授
愛媛大学大学院医学系研究科 地域救急医療学講座教授
超音波心エコー図法を用いて心不全の診断を行い、予防医学、治療に貢献している。

●心不全の現状
心不全は「心臓が悪くなって、命に関わる重大な病気」と知っている人がいる一方「自分には縁のない病気」と思われている人も多いと思います。
実は、治療が発達している現在でも心不全の患者さんは、ますます増加しています。

●心不全は予防が大切
心不全の患者さんを減らすには、心不全を予防することが最も重要ですが、予防の取組が遅れてしまうことがあります。その理由は、心不全の発症前に自覚症状がないためです。
生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)は、心不全の発症と強く関連することが知られていて、日常生活で喫煙を続け、塩分が多く脂っこい食事や間食を摂り過ぎると生活習慣病が悪化し、心不全を発症する可能性が高くなります。
心不全は発症すると元に戻らず、がんと同様、生命の危機に直結する病気です。症状がないときこそ、心不全を予防する最大のチャンスです。

●東温スタディの成果
平成21年から市民を対象とした最先端の健診、東温スタディが行われており、市民の皆さまの健康管理に役立てるとともに、新たな医学の知見が得られています。愛媛大学では、心不全の発症と関連するNT-pro BNP(エヌティープロ・ビーエヌピー)に注目し、東温スタディのデータを活用して心不全の予防医学の確立を目指しています。NTpro BNPは、初めて耳にされる人も多いと思いますが、病院で心不全が疑われる患者さんに測定されるホルモンです。
これまでの先行研究から、NT-pro BNPを上昇させる危険因子として、性別、年齢、BMI(体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数)、拡張期血圧(下の血圧)、脈拍数、ヘモグロビン(貧血のマーカー)、総コレステロール値、アルブミン(体のタンパク質の一つ)、HbA1c(糖尿病のマーカー)、eGFR(腎臓機能のマーカー)が知られています。
愛媛大学では、これらの危険因子を用いてNT-pro BNP値を予測する方法を提案しました。健診や病院で測定された検査結果が分かるようでしたら、スマートフォンのアプリを用いてご自身のNTpro BNP値を導き出すことが可能です。
NT-pro BNP予測アプリの二次元コードを左記に掲載していますので、是非ご活用ください。
※二次元コードは本紙をご覧ください。

●健康的な生活習慣を
心不全は心臓が悪いために発症することもありますが、加齢、貧血、筋力低下や生活習慣病、腎臓の機能を悪くして発症することが多いです。
市民の皆さまが禁煙や食事療法を行うことで、心臓や血管を労り、体力に応じて体を動かし筋力を維持して、活力ある人生を送って欲しいと願っています。

■市では心疾患の予防に取り組んでいます
血液検査でより詳しい状態を調べることができます

集団健診及びいのとんドックで、心疾患を予防する血液検査「心筋ストレスマーカー」を実施します。検査を希望される人は、下記を参考に検査日当日にお申込みください。また、特典付き健康づくり教室(100日チャレンジ)に参加される人の特典として、血液検査「心筋ストレスマーカー」が受けられますので、積極的な参加をお待ちしています。(夏〜秋頃開催予定)

対象者:40歳〜74歳の国民健康保険加入者(特定健診のオプション検査として実施)
料金:700円
検査内容:血液検査(NT-proBNP)
注意事項等:検査日当日に受付
※対象年齢以外の人は、2,200円で受診可能

▽集団健診・いのとんドック
がんの早期発見や健康状態の把握を目的に、集団健診は市内の会場で、いのとんドックは健診施設で受診できます。いのとんドックでは、腹部超音波検査などの詳しい検査が受けられます。

▽特典付き健康づくり教室
100日間、健康づくりのための講座受講やウォーキング等に取り組んでいただく市民参加型の企画です。成果に応じて参加賞も用意しています。
皆さんで健康づくりに取り組んでみませんか?

問合せ:健康推進課
【電話】964-4407