文化 【ふるさと魅力発信】久万美術館

■のぼって おりて またのぼる アートと福祉のはざまで(2)
「作ってもいいし、作らなくてもいいし」
現在開催中の展覧会「のぼって おりて またのぼる アートと福祉のはざまで」では、生活介護事業所さんかくやまを特集しています。展示室には、「登山者」こと施設の利用者が制作した作品が並んでいますが、ここに通う全員が物作りをするわけではありません。
さんかくやまでは、作品を制作するための環境を設けていますが、それは施設の掲げる目的ではありません。まずは、登山者の方が自分らしく日々を過ごすこと。それが第一です。
冒頭の言葉は、さんかくやまのスタッフ・サ々キDUB平さんによるもの。自身もアーティストとして活動するサ々キさんは、登山者に画材を渡したり、「こんなことをやってみたら」と提案はしますが、決して強要も指導も行いません。傍らでそっと見守り、何か面白いものが生まれ出るのを楽しみに待っています。
施設では、日々スタッフが登山者に寄り添い、それぞれの得意なことを一緒に見つけています。信頼関係が結ばれ、心地よい空間ができた結果、表れ出たものが「作品」なのです。(品川)

■学芸員のつぶやき
本紙掲載の写真は「さんかくやま」のリビング再現スペース。後ろでは、施設の日々を捉えたドキュメンタリーを上映しています。

問い合わせ:久万美術館
【電話】21‒2881【HP】http://www.kumakogen.jp/site/muse/