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- 自治体名 : 愛媛県久万高原町
- 広報紙名 : 広報久万高原 2025年9月号
面河山岳博物館では、久万高原町にすむ絶滅危惧種トノサマガエルをモチーフにしたピンバッジを制作しました。カエルの頭から、ちょんまげのごとく稲穂が伸びているというデザインで、愛称は「ホトノサマ」。
愛媛の平野部では激減してしまったカエルですが、ここ久万高原では普通種です。その理由は米作りの方法にあります。「早期栽培」という4月から湛水し、5月初旬に田植え、9月に収穫という山地特有の栽培法が本種の生態にうまくマッチしているのです。
トノサマガエルは4〜5月に産卵をします。卵は1週間でふ化し、オタマジャクシは約40日で子ガエルに変態して上陸します。早期栽培の水田には水があるので成長が可能です。一方、田植えから収穫までの期間がもっと短い松山などでの栽培法(短期や普通期)では、水のある期間も短いため、うまく変態ができません。また、久万高原の水田には冷たい山水を直接引き込まないよう、水温を上げるための水路が備えられています。ここは水田に水が少なくなったときのオタマジャクシやカエルたちの避難場所になっています。
こういった栽培法や工夫は、農家の皆さんが米作りの中でごく普通に取り組んでいることで、特別、このカエルを守るために手間をかけているわけではありません。絶滅危惧種が自然と守られている農業、それ自体に価値があると思いませんか?そんなことをアピールするグッズとして誕生しました。
問い合わせ先:面河山岳博物館
【電話】58-2130