- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県内子町
- 広報紙名 : 広報uchiko 2025年6月号
■明治の相撲場、住民の熱意で町の文化財へ
中川地区・愛宕山保存会の皆さん
中川地区にある「愛宕山(あたごさん)相撲場跡」は3月25日、内子町の有形民俗文化財に指定されました。明治31年に築かれた相撲場で、「愛宕山保存会」の皆さんが長年、保存活動に力を注いできました。
今回指定された相撲場跡には、石積みの桟敷席が昔の姿のまま残されています。中には氏名が刻まれた石もあり、当時の指定席だったそうです。遺跡について愛媛大学准教授の大本敬久(たかひさ)さんは、「明治期までさかのぼる相撲場跡は県内に類例がない。住民の手できれいに整備され、地域の宝として熱心に守っているのもよく伝わる。素晴らしい文化財」と高く評価します。
管理道の整備や草刈り、案内板の設置など、地道な活動を続けてきた同保存会の皆さん。会長の谷本功(いさお)さんは「指定はこれまでの汗の積み重ねであり、仲間たちのおかげ」と感無量の表情を浮かべます。
地域の防火を祈願する奉納相撲は、昭和20年ごろまで続いていました。当時は相撲が一番の娯楽。土俵では住民同士が取り合い、桟敷席からは勝敗が決まるたびに歓声が上がり、大盛況だったそう。谷本さんは「中川のロマンあふれる歴史に触れてもらえたら。多くの人たちに親しまれる文化財であるよう、みんなで力を尽くしていきたい」と目を輝かせました。