その他 The Strawberry Schooner

ジョンソン
アンドリュー・ブレイディ

■ボイジャー・ミッション(後編)
先月、探査機ボイジャーとその成果について話しました。私が特に衝撃を受けたのは、「ペイル・ブルー・ドット」と題された写真です。この写真は20世紀で最も感動的な写真の一つだと思います。非常に遠くから撮影されたため、地球は青白い海色の一点にしか見えません。
この「ペイル・ブルー・ドット」を見ると、私たちの地球は取るに足らない、もしくは弱々しいとさえ感じます。しかし今ある地球への感謝や緑豊かで安全な場所に生まれたことへの安堵感も覚えます。探査機ボイジャーはカメラや科学機器だけでなく、地球の音、音楽、言語を記録したゴールデン・レコードも載せています。探査機に地球外生命体が遭遇する可能性は限りなく低いですが、ボイジャー・チームは、いつか探査機が発見されたとき、人類の歴史、文化、平和の希望が理解されるようあらゆる努力をしました。
ボイジャー・プロジェクトはNASAによって進められ、アメリカ政府が資金提供をしたので、ゴールデン・レコードにはアメリカの文化が多く記録されています。しかし、日本もボイジャー・ミッションに貢献しています。レコードの音楽セクションには、尺八奏者の山口五郎氏による「鶴の巣籠り」という曲が収録されており、地球の様々な言語を紹介するセクションには、当時の留学生野田眞里氏の「こんにちは、お元気ですか?」という挨拶も収録されています。
個人的には、これらは素晴らしいセレクションだったと思います。野田氏の挨拶はシンプルですが、率直であり、温かく楽観的なエネルギーに満ちています。世界の音楽的伝統の範囲は、現代のポップから想像するよりもはるかに多様で変化に富んでいます。私は尺八に詳しくないのですが、収録された山口氏の演奏を聴くだけで、例えばモーツァルトの音楽とは全く異なる音楽の世界を訪れたような気分になります。地球外生命体に人類を紹介するなら、アメリカのロックンロール、メキシコのマリアッチ、アゼルバイジャンのバグパイプと同じように尺八も紹介すべきでしょう。
最後に、天文学者であり、教授であり、人気テレビ司会者でもあるカール・セーガンの言葉を紹介します。「今から10億年後、私たちがこれまで地球で築いてきたものすべてが塵と化し、大陸の見分けがつかないほど変化し、私たちの種が想像を絶するほど変化するか絶滅したときでも、ボイジャーの記録は私たちを代弁してくれるだろう」

YouTubeでゴールデン・レコードの全曲を聴くことができます。興味のある方はぜひ聴いてみてください。