くらし 人権コラム

■裸の勇者
「王様ランキング」というアニメがある。その主題歌、「裸の勇者」。このアニメはちょっと変わっている。巨人族の王の子どもとして生まれた王子は耳が聞こえず、子どものまま成長せず、力もなく、国に必要とされなかった。信頼する家来にも裏切られる。そんな彼の強みは、「弱さを受け入れること」と「決してあきらめないこと」だった。彼は力に頼らない方法で剣を学び、相手を決して殺さない強い剣士となっていく。家来が自分を殺そうとしたことに絶望し、悩みながらも、最後にはその家来を許す。王子が本当に手に入れたのは、力ではなく心の強さだった。
耳が聞こえず、非力な子どもが主人公という設定自体めずらしいが、私はいつのまにか、この主人公の無尽蔵の優しさに心惹かれ、あきらめないことの大事さと多くの勇気をもらった。
本当に必要なのは「剣」ではなく「強い心」。まさに裸の勇者だ。深夜放送にもかかわらず、私は毎週観て、ひとり涙した。
アニメに感動して、夜中にこっそり泣く高齢者が一人ぐらいいてもいいだろう。

四万十市人権教育・啓発講師 光内真也