- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県飯塚市
- 広報紙名 : 広報いいづか 令和7年7月号
〔テーマ〕脱水予防には塩飴は有効か?
飯塚市立病院 栄養管理室
管理栄養士 古林(こばやし) 美保(みほ)
夏になると脱水予防で「塩飴をなめている」と言われる方もおられます。塩飴には体内の水分量を保つ役割がある塩分が、実際どの程度含まれているでしょうか。他の商品と成分を比べてみました。
塩飴の1粒あたりの塩分は商品により差がありますが、最低0.04g最高0.3g平均0.1g程度で意外と少ないのです。このように塩飴は脱水予防に一役を担う程の量ではないようです。むしろ糖分も多く1粒あたりの平均は4gと、一般的な飴の糖分と同じ程度で、塩飴で塩分1gを確保するには糖分40g(160kcal)も摂取にすることなります。血糖やカロリーを気にしている方にとっては本末転倒ということに。
では、脱水を予防するにはどうしたらいいのでしょうか。まずは食事をしっかり摂りましょう!食事には塩分と水分、そして糖分も含まれています。
脱水予防になぜ”糖分”?と思われるかもしれませんが、糖分は腸の中で水分吸収を促進します。朝食を摂らずに汗を一杯かくような作業をした場合、水分だけを補充しても体液が薄まります。これも脱水の原因となるのです。
人間の体は60%が水分です。水分は筋肉をタンクにして蓄えられているため、筋肉量が減少すると体内の水分量も少なくなりがちです。加齢に伴い筋肉量が減るので、こまめな水分補給も大事です。また、しっかり食べていても、果物や牛乳は無塩です。パンとコーヒーのみだと塩分が少ないものもあり、真夏に多量の汗をかく時は注意が必要です。暑さなどで食欲がない時は結果的に塩分不足にもなるため、効果的に塩分を摂取できる面では、塩飴も脱水予防の選択肢の一つとなります。
なお、元々日本人は平均的に塩分を摂りすぎているので、多量に汗をかいた時か、高齢で筋肉が落ちた方以外は気を使う必要はないと思いますが、塩飴の袋の裏側に塩分相当量などが書いてあるので、確認してから購入しましょう。何事も過信せず、成分を見て”自分に合った”もので脱水予防しましょう。
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