くらし わがまちをつくるひと vol.9

■木製建具製造工 竹下(たけした) 茂満(しげみつ)さん
1946年生まれ(78歳)大川市出身、川口校区在住
有限会社竹下建具工芸 会長
全国建具展示会において、技術とデザイン性が評価され2度の長官賞をはじめ多数の入賞歴がある。
令和6年11月には卓越した技能者を厚生労働大臣が表彰する、通称「現代の名工」に選ばれる。
福岡県建具・木工協同組合 理事長、全国建具組合連合会九州ブロック協議会 会長等を歴任。

■独自のデザインに常に挑戦〜業界の発展と技術の継承〜
▽〔Q〕竹下さんが建具業界に入られたきっかけを教えてください
〔竹下〕私が小学生の時に、父が今の会社を創業しました。
子どもの頃は歴史が好きだったので社会科の教員になりたいと思っていましたが、父の跡を継いでほしいという思いを受けて、中学卒業と同時に定時制高校に通いながら仕事を始めました。
最初は教員に未練がありましたが、やると決めてからは、「一意専心」の思いで仕事と向き合ってきました。

▽〔Q〕令和6年11月に「現代の名工」に選ばれたときはどういうお気持ちでしたか?
〔竹下〕こんなに立派な賞をいただけるなんて驚きました。60年以上自分なりに考えて、仕事に励んできたご褒美をいただけたんだと思います。周りの人たちやこれまで仕事で携わってきた人たちに感謝の気持ちでいっぱいです。

▽〔Q〕昔と今で建具業界はどのように変わっていますか?
〔竹下〕私がこの仕事を始めたころは追いつかないくらい仕事がありましたが、和室がある家も減ってきて、木材の値段も高騰しているので業界全体が厳しい状況です。
建具屋の数も30年前と比べると半分以下になっています。
素晴らしい技術があっても、今までと同じではいけないので、時代にあった新しいことに挑戦していかないといけないと思います。

▽〔Q〕竹下さんはこれまでどのようなことに挑戦されてきましたか?
〔竹下〕大川市は建具が盛んなまちなので、他と一緒ではだめだと思い独自のデザインや商品の開発をしてきました。
端材を組み合わせて年輪を見せる「小口見せ」というデザインや、ガラスの中に突板を入れたドア等、これまでいろんなことに挑戦してきました。
押し花や有田焼など異業種ともコラボしました。

▽〔Q〕竹下さんのこれからの目標を教えてください。
〔竹下〕今でもこの業界に入ってきてくれる若者がいますので、次の世代に技術や日本の伝統を継承していかないといけないと思っています。
若者が希望を持てるように、建具業界を盛り上げていきたいです。

▽〔Q〕最後に今後の大川市にどのようなことを期待しますか?
〔竹下〕ここに行けば大川の歴史が分かるという博物館のような大川の家具や技術を集約した場所が欲しいとずっと思っていました。市外から来た人に古賀政男記念館や清力美術館と併せて巡ってもらいたいです。

これまで建具の認知度向上や技術の継承に尽力されてきた竹下さん。
自分の夢を断念して入った建具の世界ですが、今はこの仕事をしてよかったと語られました。
竹下さんの今後益々のご活躍を祈念申し上げます。
ありがとうございました