健康 人生100年時代 認知症と向き合う

高齢になるほど認知症になりやすく、85歳では約3割、90歳では約5割の人が認知症になると言われ、認知症は誰もがかかる可能性のある病気といえます。認知症についての研究が進み、認知症になっても周囲の支援があれば自分らしく暮らせること、生活習慣の改善や治療により進行を抑えられることなどがわかってきました。認知症を正しく知り、その人らしく生きられる社会の実現が求められます。

■知っていますか?軽度認知障害(MCI)
認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)は、本人にもの忘れが増えた自覚があり、実際に年齢に比較して記憶力が低下していますが、日常生活は大きな支障なく送れる状態です。この段階であれば生活習慣の改善などで認知症への移行を予防したり、先送りできる可能性があります。また、対象者や効果は限られますが、認知症の進行を抑える薬もあります。

■軽度認知障害(MCI)の主な症状
◇記憶障害
最近の出来事を忘れる、同じことを何度も聞く、新しいことを覚えられない、などの症状が見られます。加齢によるもの忘れとは異なり、体験したこと自体を忘れてしまうことがあります。
例えば「隣の部屋にさがしものに行ったら、何をさがしに来たのかどうしても思い出せない」など、今なにをしようとしたのかわからなくなる等。

◇実行機能障害
物事を計画的に進めることが難しくなる、段取りが悪くなる、などの症状が見られます。料理の順番を間違える、同じものを何度も買ってきてしまう、などの状況が起こることがあります。

◇時間の見当識障害
日付や曜日がわからなくなることです。何かのイベントを思い出そうとしても、どのくらい前のことなのかわからなくなるなどがしばしば起こります。

◇その他
興味や関心が薄れる、以前は楽しんでいた趣味に意欲を失うなどの変化が見られることがあります。また、自信がなくなったり、きちんと対応できない自分にいらだったり不安を感じ、疑い深くなったり、怒りっぽくなったりする場合があります。

上記のような症状に心当たりがある場合は、早めに医療機関を受診し、専門医の診断を受けることをお勧めします。MCIの診断には、記憶力や認知機能の検査、画像検査(MRIやCTなど)や血液検査などが行われます。かかりつけ医へ相談、または「もの忘れ外来」や認知症の専門医がいる医療機関を受診してみましょう。

■認知症への進行を先送りするには
高齢になれば内蔵や運動器(ひざなど)などの機能が衰えるように、認知症を完全に防ぐことはできません。認知症の予防とは、認知症になりにくくしたり、なっても進行をゆるやかにしたりする取り組みを意味します。
具体的には、脳の血管を守るために高血圧や高血糖、脂質異常などに注意して生活習慣病を予防したり、重症化しないように主治医と相談してきちんと治療することが重要です。また、生活リズムを整える、運動習慣を持つ、栄養バランスのとれた食事を3食きちんととる、積極的に外に出る、社会に関心を持ち、人と交流するなどを心がけましょう。

◇生活を整える
起床時間を定め、なるべく同じ時間に起きる、1日3食規則正しく食べるなど、生活のリズムを守りましょう。朝起きたら日光を浴びることが体内リズムの調整に役立ちます。

◇運動
掃除などの日常生活で積極的に体を動かしたり、1日30分程度の運動習慣を持ったりすることは認知症の予防に役立ちます。散歩をしながら俳句を考えるなど、頭を使いながら運動するとさらに効果が上がります。地域の運動教室や「通いの場」などに通えば、楽しく、続けやすくなります。スクワットなどの筋力トレーニングで足腰を鍛えることも大切です。

◇食事
朝・昼・晩と栄養バランスの良い食事を、よくかんで、規則正しく食べましょう。主食(ご飯、パン、麺類)、主菜(魚、肉、卵、豆腐等)、副菜(野菜、海藻、きのこ等)がそろうと栄養バランスが良くなります。食欲がないときは主菜から食べ、魚や肉などのたんぱく質は毎食とりましょう。
※治療中の病気がある方は医師の指示に従ってください。

◇社会参加
買い物でも外出して、活動することが社会参加になります。「通いの場」などの住民活動やボランティア活動、カラオケ、趣味の集まりなど、楽しめる集まりに参加するとさらに認知症予防になります。週に1度も外に出ない「閉じこもり」状態は認知症になりやすくなるため、外出の機会を作りましょう。

■9月は認知症月間
・大川市立図書館でパネル展示 9日~30日
・昇開橋オレンジライトアップ 12日~18日

■相談窓口
・地域包括支援センター
(詳しくは大川市介護保険高齢者福祉ガイドブック、市ホームページをご覧ください。)
・大川三潴医師会…【電話】87-2611
・健康課健康推進係…【電話】86-8450