- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県太宰府市
- 広報紙名 : 広報だざいふ 令和7年3月1日号
■子どもを取り巻く環境
子どもを取り巻くさまざまな社会課題を解決し、こども施策を社会全体で推進するために、昨年4月にこども基本法が制定されて1年が経過しました。
文部科学省は令和5年度の私立公立小中学校・高校に通う子どもたちを取り巻く環境について調査結果を公表しています。その内容から一部を抜粋して紹介します。
まずは、いじめの認知件数です。令和5年度は前年比7.4%増の73万2,568件でした。コロナ禍の影響で令和2年度に減少していましたが、ここ最近は3年連続で増加し、過去最多となっています。
この背景には、平成25年施行のいじめ防止対策推進法に基づき、多くの自治体がいじめ防止基本方針を掲げていじめの定義を明確にし、いじめが認知されたことがあります。子どもたちや保護者へのいじめに関するアンケートやスクールカウンセラーによる相談の実施が広がり、いじめに対する意識は高まってきました。
しかし、いじめにより多くの子どもたちや保護者が悩みを抱え、解決策を見いだせないまま転校を余儀なくされる現実があることから、いじめが発生してから対策を練るのではなく、未然に防ぐための取り組みが求められています。
次に、メディアでも大きく取り上げられている不登校です。令和5年度の不登校の小中学生の人数は、前年度比4万7,434人増の34万6,482人と、11年連続で増加して過去最多となっています。小中学校へのアンケートでは、不登校になった子どもたちから「学校生活にやる気が出ない」「不安・抑うつ」「生活リズムの不調」などの相談があったことがわかっています。ここ数年は新型コロナウイルス感染症により、人と人とが距離を取らざるを得なくなった生活から、人間関係を築くのが難しくなったことが一つの要因として考えられます。
本年4月には、県立高校で初めて不登校を経験した生徒に配慮した教育を行う「多様化学校」がコースとして開設されます。子どもたちの悩みや不安に丁寧に応えられる環境整備も重要な課題です。
未来あるこどもたちの声を受け止めながら、大人として自分に何ができるのか、学校で、家庭で、地域で、社会全体で見守りながら考えてみませんか。その行動が、一人一人の人権を大切にするまちづくりに繋がります。
社会教育課 教務係