- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県広川町
- 広報紙名 : 広報ひろかわ (令和7年3月1日号)
■広川町にある巨樹・珍樹 その7
巨木について広報紙で連載する中で、さまざまな情報が寄せられ、大変ありがたく思っています。
昨年11月、鬼ノ渕区地内に、三鈷(さんこ)の松(まつ)があるとの話が舞い込んできました。
早速、広川野草塾の吉田和三会長と、現地へ駆けつけて確認しました。「野中氏祖先碑」(大正14年5月建立)の周りに、数本の松樹が聳(そび)えています。その中の1本は、
推定樹齢 約100年
推定樹高 約35メートル
幹周 1・6メートル
を測ります。自生木ではなく、用材として植栽されたものと見受けますが、松樹としてはまっすぐに伸びており、周囲の桧樹(ひのき)をしのぐ樹高です。よく見ると根元に枯松葉が散らばっています。長さが20センチメートル超のものもあり、しかも葉が3枚です。
情報提供者は、このことから三鈷の松だと思ったのでしょう。
結論は、当該樹はアメリカ原産のダイオウショウ(大王松)です。松葉の長さもさることながら、松ボックリや樹皮などが、まったくダイオウショウの特徴を示しているため、間違いありません。
●松には一葉松(いちようしょう)から五葉松(ごようしょう)まである
松葉は一般的には2枚ですが、実は1枚から5枚まであることをご存知でしょうか。
「三鈷の松」とは、弘法大師伝説の三鈷(法具の一種で爪(つめ)が3本ある)にちなむもので、高野山金剛峯寺(こうやさんこんごうぶじ)の境内にある、3枚葉のクロマツをそう称するのであって、松の種類名ではありません。
よって葉が3枚だから、三鈷の松というわけではないのです。
鬼ノ渕区で確認したダイオウショウは、三葉松の仲間ですが、我が国原産の松ではありません。
昔は、一條区(現在は筑後市一条)に在った原田植物園(はらだしょくぶつえん)に、大きく枝を張ったダイオウショウの大木が聳えていました。
写真のダイオウショウも外国原産とはいいながら、町内随一の大木であることは間違いありません。
※詳しくは本紙をご覧ください。
■広川町古墳資料館だより
3月30日(日)9:00~15:00、「第31回ひろかわ古墳まつり」が開催されます。
当日は、弘化谷古墳の壁画も一般公開され、石室内の石屋形(いしやがた)に描かれ、呪術的な意味を持ち独特な形の「双脚輪状文(そうきゃくりんじょうもん)」を古墳内の観察室から確認することができます。
年に2回の貴重な一般公開ですので、この機会にぜひ、お越しください。