- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県伊万里市
- 広報紙名 : 広報伊万里 令和7年9月号
■言葉の持つ力
『釜石から復興未来ゆき』という切符をご存じですか。実際に乗車することはできませんが、三陸鉄道の復旧を願って作られた特別な切符です。有効期限は『諦めない限り有効』と書いてあり、必ず立ち直るという力強い気持ちが伝わってきます。
東日本大震災から11日後の2011年3月22日に気仙沼市立階上(はしかみ)中学校で卒業式が挙行されました。全員がそろうことは叶いませんでしたが、卒業生代表の答辞は、感謝の言葉から始まり、震災の前日に渡された卒業アルバムに詰まった、同級生への思いが述べられました。「生かされた者として顔を上げ、常に思いやりの心を持ち、強く正しくたくましく生きていかなければなりません」「苦境にあっても天を恨まず、運命に耐え、助け合て生きていくことが私たちの使命です」と語られた言葉には重みを感じます。同時に、人を勇気づけたり、励ましたり、慰める大きな力があることも分かります。
一方で、言葉には、夢や希望を打ち砕く負の力もあります。作家の向田邦子さんは『言葉が怖い』という講演の中で「言葉は諸刃の剣」「謝っても取り返しが付かないことが怖い」「書いた言葉は消せるが口から出た言葉は消すことができない」という話をしています。
インターネット全盛の現代は、書いた言葉を消すことさえもままならなくなっていて、言葉の重みは、さらに大きさを増しています。言葉は、相手の気持ちを考え、十分に吟味して使う必要があります。人の気持ちを明るくし、元気づける、そんな安心できる言葉を使いたいものです。
※このコーナーは、隔月のシリーズで掲載しています。これを手がかりに、家庭で人権・同和問題について話し合ってみましょう。
問合先:生涯学習課人権・同和教育係
【電話】23-3186