文化 郷土の文化財

■大きな石鏃(せきぞく)と小さな石鏃

石鏃とは、矢の先端に取り付ける石でできた『やじり』のことです。
旧石器時代(縄文時代より前)は、気温が低く、ナウマンゾウやオオツノジカといった大型動物が多く生息していたため、槍などの大きな石器を使って狩りが行われていました。しかし、縄文時代になると気候が温暖になり、イノシシやウサギ、鹿などの素早く動く小動物が増えたため、狩猟具として弓矢が使われるようになりました。
写真の石鏃は、木須町の樽浦(たるうら)遺跡から出土したものです。
写真中央の石鏃は、黒曜石製で、長さ2.6センチ、重さ2.5グラムあり、一般的な大きさのものです。
写真右は『チャート』という石材で作られた長さ6.7センチ、重さ20グラムの石鏃で、通常の狩猟用よりも大きく、儀式(祭祀)用だったと考えられています。
写真左は、長さ1.05センチ、重さ0.2グラムと非常に小さく、黒曜石でできています。狩猟で使ったあとに欠けた部分を再加工した結果、小さくなったとも考えられますが、想像を膨らませると、石器作りの腕前を自慢するために、あまり実用的ではない極小の石鏃を作ったのかもしれません。

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