くらし 教育と文化‐みんなで考えよう 人権・同和問題 No.279

■ともに生きる

『ヘイトスピーチ解消法』が施行されて9年が経ちました。この法律が制定された背景には、外国人や海外にルーツを持つ人たちに対する深刻な人権侵害が続発していたという現実があったことを、私たちは深く受け止めなくてはいけません。
法律による啓発効果もあり、市民の人権問題への関心は高まりをみせていますが、外国人や海外にルーツを持つ人たちに対する先入観や決めつけ、偏見などは根強いものがあります。
人は、自分と違うことや、知らないことに不安を感じます。未知のものに備えようとする人間の本能なのかもしれません。ですが、不安を理由に、自分と違う言語を使う人や、異なる宗教・文化を持つ人を遠ざけようとすることは許されることではありません。
伊万里市には、千人近くの外国人が暮らしています。その多くは、技能実習や特定技能制度で働く、市の産業を支える貴重な人材です。同時に大切なことは、市で暮らす外国人は、単なる労働者やお客様ではなく、ともに生きる地球市民だということです。『袖触れ合うも他生の縁』と言いますが、世界の人口82億人のうち5万1千人が同じまちで暮らすこの巡り合いは、奇跡と言えるのかもしれません。
この奇跡を生かし、お互いの国の文化に触れ合ってみませんか。難しく考えずに、料理など身近なことに関心を持つことから始めてみましょう。お互いを知り、理解し合うことで不安が解消されます。それこそが、文字どおり、私たちが『ともに生きるための多文化共生』の社会を創る第一歩になるはずです。

※このコーナーは、隔月のシリーズで掲載しています。これを手がかりに、家庭で人権・同和問題について話し合ってみましょう。

問合先:生涯学習課人権・同和教育係
【電話】23-3186