- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県吉野ヶ里町
- 広報紙名 : 広報よしのがり 2025年8月号
■神埼市・吉野ヶ里町捕獲実績の推移
町内ではイノシシによる農作物への被害も多く、住民の安全安心な暮らしを脅やかしています。
令和2年には755頭、令和3年には780頭と、2年間はほぼ同じ水準でしたが、令和4年には1,310頭と大きく増加しました。その翌年の令和5年には570頭と一時的に減少したものの、令和6年は再び1,297頭と高い水準となりました。
このように、毎年の捕獲数はイノシシの生息状況や活動範囲、気象条件、さらには捕獲体制の強化などによって変動しています。
町では今後も引き続き、関係機関や地元の猟友会と連携しながら、被害の防止と安全・安心な暮らしの確保に取り組んでいきます。
近年、アライグマによる農作物や生態系への被害が深刻化しています。
令和6年度は過去最多の捕獲数となっており、アライグマの生息域が広がっていることがうかがえます。
町の皆さまには、アライグマを見かけた際の情報提供や、餌付けの禁止など、引き続きご協力をお願いします。
■山の恵みと共に生きる——猟師の知恵と想い
「イノシシの捕獲は、約85%が箱罠、10%が銃、残りの5%がくくり罠によるものです。アライグマに至っては、96%が箱罠で捕獲されています。」
そう語ってくれたのは、長年にわたり山での猟に携わってきたベテランの猟師さんです。
イノシシはとても賢く、優れた嗅覚を持つ動物です。地中30センチも埋まったタケノコの位置を正確に嗅ぎ当て、鼻先で器用に掘り出して食べてしまうほど。その鋭い感覚は、危険を察知することにも使われています。
「罠を仕掛けに山へ入るときは、必ず風下から入ります。風上からだと、人間の匂いを敏感に察知されてしまうんです。化粧の匂いなんてもってのほか。人がいることがわかると、もう近づいてきません。」
そうした繊細な工夫の末に仕掛けた罠は、毎日欠かさず見回る必要があります。中には、体長1メートルを超え、60kg以上にもなる大きな成体がかかることもあるそうです。
「もし私たち猟師の活動がなければ、有害鳥獣はますます増えていきます。そうなると農作物の被害は深刻になり、収穫すらままならなくなるんです。」
自然と向き合い、命と向き合う日々。その営みの中で得られる〝山の恵み〞が、ジビエです。
ジビエとは、狩猟によって得られた野生鳥獣の肉のことで、もともとはフランス語。「動物の尊い命をいただく代わりに、丁寧に料理し、生命に感謝する」という精神が込められています。
山野を駆け巡った天然の肉は、脂肪が少なく引き締まっており、栄養価も高く、まさに森からの贈り物。自然の恵みに感謝しながら味わってほしいです。
■部位ごとのオススメの食べ方
カタ肉…ロースやモモより脂身が少なく脂が苦手な方にも。
バラ肉…一番脂がのった部位です。イノシシの脂は豚と違ってあっさりして旨味があります。焼肉に最適な部位!
スジ肉…カレーやシチューなどに。圧力鍋を使うと旨味を含んだ柔らかい肉に。
ロース…脂がたっぷりのった最もポピュラーな部位。煮ても焼いても美味しい部位で、初めての方はロースがオススメ!
モモ肉…イノシシは山を駆け回るため、もも肉は張りがあり、適度な弾力と適度な脂であっさりめ。どんな料理にも合います。
■「ハンバーグのヒルデン」二宮シェフのワンポイントアドバイス
◇令和6年11月~令和7年1月期間限定で提供された「天然”旨“しし肉」メニュー
・しし“リアンライス
・オムハヤシライス
・しょうが焼き
〇お客さまの声
・初めて食べたけど、あっさりしていておいしかった。
・柔らかくてびっくりしました。旨味もあり、満足です!
〇「ハンバーグのヒルデン」二宮卓哉シェフ
ジビエは臭みやかたさが気になる人も多いですが、脊振山系鳥獣処理加工センターで適切に処理されたイノシシ肉は、臭みがなく旨味が豊富です。かたさ対策には、舞茸と大根おろしの汁で揉むのがおすすめ。脂ののったバラ肉とロースを組み合わせ、家庭でも作りやすいレシピに仕上げました。
◇特産品「脊振ジビエ」をPR
栄養価も高く、鉄分も豊富。ビタミンB12にいたっては豚肉の約3倍です。美肌効果もあるジビエをもっと身近に感じてもらうため、町内の飲食店に協力を依頼。今年は、どんな企画が用意されているか…。