くらし 《地域特集》kon-ne 雲仙
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- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県
- 広報紙名 : つたえる県ながさき 第110号(令和7年6月号)
■神代小路の魅力を感じてほしい
雲仙市国見町 古民家宿「TOKITOKI(トキトキ)」支配人
境 研伍(さかい けんご)さん
江戸時代の武家屋敷の町並みが残る雲仙市国見町の神代小路(こうじろくうじ)地区。その一角で静かに観光客を迎える古民家宿「TOKITOKI」は、伝統的な町並みに溶け込みながら新しい風を吹かせています。
神代小路地区は国の重要伝統的建造物群保存地区。早春に咲く緋寒桜(ヒカンザクラ)が有名で、見頃を迎える2月には「緋寒桜の郷まつり」が開催され、多くの人が訪れます。「泊まれるようにしたら神代小路の良さをもっと肌で感じられるのでは」。国見町出身の建築士・境研伍さんは、空き家になっていた築190年の家屋を購入・改修し、地区初の宿泊施設として2021年にオープンしました。
県外の大学を卒業後、東京の総合建設業者で働いていましたが、東日本大震災を経験し、家族のいる地元の良さを感じてUターン。諫早の建設会社での勤務を経て、8年前から父の設計事務所で働いています。その頃に同地区を初めて訪れ、TOKITOKIの構想が浮かびました。
「江戸時代の町並みが残されながら、今もそこに人が住んでいる」と同地区の魅力を語ります。購入した空き家は畳から竹が生えるなど荒れ放題でした。歴史的建造物である家屋の改修は、復元することが基本であるため、昔の資料や文献を調べて試行錯誤しつつ進めました。
宿のコンセプトは「いつもは気づかない小さな時を見つける場所」。一棟貸しの静かな環境で日常の喧騒を忘れ大切な人とゆっくり過ごせるよう工夫を凝らしています。現在、年間約50組の旅行者に利用されています。
宿の運営は少し変わっていて、チェックインは近くの呉服店が業務を代行。朝食は商店街の老舗旅館が地元の食材を使った料理を部屋まで届けてくれます。他にも清掃やリネン類の洗濯など、地元の皆さんの協力を得ながら運営しています。
高齢化や過疎化が進む同地区を活性化しようと、2年前には武家屋敷や古民家でアート作品を展示するイベントを開きました。境さんの活動に触発され、地区内の別の空き家を「TOKITOKIのように活用したい」と改修する人も出ているそうです。
「自分はきっかけを作りたいと思っている。神代小路が文化や特徴を保ちながら、存続できる助けになれば」。このきれいな町並みをいつまでも―。悠久の歴史香る同地区の新たな時を紡いでいます。
▽田代原高原(たしろばるこうげん)
雲仙岳北部にある標高約600メートルの高原。九千部岳(くせんぶだけ)、吾妻岳、鳥甲山(とりかぶとやま)に囲まれ、春のミヤマキリシマ、初夏のヤマボウシ、秋の紅葉と、四季折々の光景が楽しめます。
▽鳥刺し
280年ほど前、京都で習い、楠高地区で代々伝えられてきた郷土芸能。頰かむりに赤い九尺(くしゃく)ふんどしの面々が、竿(さお)を片手に鳥を捕まえる様をユーモアに演じます。30~70代の7人が郷土の伝統芸能を継承しています。
◆地元の旬な野菜を使ったプリン
▽旅館松栄(しょうえい)
宿泊者のデザートとして考案したじゃがいもプリンがルーツの「雲仙野菜ぷりん」。大地の恵みを家庭にも届けようと雲仙茶やニンジンのプリンも商品化しました。牛乳や卵も地元産。無添加、手作りにこだわります。優れた農産加工品を認証する長崎県の「長崎四季畑」にも選ばれています。
ところ:雲仙市国見町神代乙349
営業:9時~17時
※不定休
※「雲仙野菜ぷりん」の主な販売場所は
県庁売店(長崎市尾上町)、
やさい工房野々花(雲仙市国見町)、
キッチンハウスみつい北門店(島原市柏野町)
【電話】0957-78-2719
◆橘湾の恵みが凝縮
▽橘湾東部漁業協同組合南串山支所
岩ガキの旬は夏。橘湾で3年、手塩にかけて育てられた「雲仙岩がき」は大粒でクリーミー。雲仙岳から流れ込む水のおかげで水温や塩分がカキに適した環境になり、貝にストレスを与えないよう間隔を空けることで、元気に育つそうです。今年の初出荷は7月を見込んでいます。
ところ:雲仙市南串山町丙9240-2 橘湾東部漁業協同組合 南串山支所内 雲仙岩がき養殖部会
営業:月~金曜 9時~15時
※漁協は問い合わせのみ。販売は生産者が行っています。
【電話】0957-88-3123
◆地域のニューストピックを紹介
▽オーガニックビレッジ宣言
雲仙市は3月11日、化学肥料や農薬を使わない有機(オーガニック)農業に地域ぐるみで取り組む「オーガニックビレッジ」を宣言しました。学校給食で有機農産物の導入回数を増やすなどの数値目標を掲げています。宣言は南島原市に続き県内2例目です。
◆[表紙のコト] 雲仙地獄
雲仙市を代表する温泉地の1つ。雲仙の地獄は吹き出す蒸気の音と熱気、硫黄の香りから大地の鼓動を体感できる。
「雲仙の名が示すように、6月頃は、温泉街は雲に包まれることが多い。温泉と一緒に幻想的な光景も楽しんでほしい。気温も平地より5度ほど低く涼しさも感じられます。雲仙の観光のことなら雲仙温泉観光案内所にお問い合わせください。(雲仙観光局の荒木さん)」
雲仙温泉観光案内所
ところ:雲仙市小浜町雲仙320
営業:9時~17時
【電話】0957-73-3434