文化 特集「明治日本の産業革命遺産」世界遺産登録10周年(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県長崎市
- 広報紙名 : 広報ながさき 令和7年7月号 No.894
■今年で登録10周年!
「ものづくり大国」と呼ばれる日本の礎をつくった「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」。2015年7月に世界文化遺産に登録され、今年で10周年を迎えます。
今回の特集では、世界遺産としての価値やその魅力を紹介します。これを機に、日本の近代化に大きく貢献した歴史に触れてみてください。
■「明治日本の産業革命遺産」って?
幕末から、わずか半世紀で急速な産業化を果たした日本。明治時代に西洋の技術を積極的に取り入れ、日本にも適合する形で改善・改良に取り組みました。その結果、製鉄・製鋼、造船、石炭産業を中心に、世界史の中でも類を見ないスピードで近代化に成功しました。
そんな日本の近代化において重要な役割を果たした全国8県11市にまたがる23の構成資産全体で、1つの世界遺産の価値を示しています。市内には、8つの構成資産があります。
■全国の構成資産の場所
※詳しくは本紙をご覧ください。
■人気ミステリー作家とコラボした小説が誕生
全国の構成資産を舞台にした短編ミステリー小説12作品をウェブサイト「note」で無料公開しています。12人の人気ミステリー作家が、実際に現地を訪れて小説を書きました。市内の構成資産を舞台にした作品は2作品あります。
●「軍艦島と白い宝石」八木 圭一
美咲は5年ぶりに再会した父から、母の忘れ形見であるペンダントを受け取る。端島で生まれた母がペンダントに込めた想いとは何なのか?不器用な親子の物語。
1979年生まれ。北海道出身。「一千兆円の身代金」で第12回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー。
●「明治七年の幽霊船」斜線堂(しゃせんどう) 有紀
明治時代、船の修理のために忙しく稼働していた小菅修船場が、3日間、1隻の船も入れずに止まっていた時期があった。人々が囁(ささや)くのは幽霊船の修理の噂。果たして真実は?
1993年生まれ。秋田県出身。「キネマ探偵カレイドミステリー」で第23回電撃小説大賞のメディアワークス文庫賞を受賞しデビュー。
■日本の産業革命ヒストリー
大きく分けて3つの段階を経て、急速な産業化が進み、日本は近代化を成し遂げました。
●1850年代 試行錯誤の挑戦
この頃の日本は幕末の動乱期で、鎖国の状態でした。そんな中、海外船やアメリカの黒船来航に藩士たちは脅威を感じました。そこで、薩摩藩や佐賀藩、長州藩などが中心となって、西洋の技術を手本にしながら、試行錯誤の中で近代技術の導入を試みました。
▽関連する構成資産
(1)萩反射炉(山口県萩市)
(2)恵美須ヶ鼻造船所跡(山口県萩市)
(3)大板山たたら製鉄遺跡(山口県萩市)
(4)萩城下町(山口県萩市)
(5)松下村塾(山口県萩市)
(6)旧集成館(鹿児島県鹿児島市)
(7)寺山炭窯跡(鹿児島県鹿児島市)
(8)関吉の疎水溝(鹿児島県鹿児島市)
(9)韮山反射炉(静岡県伊豆の国市)
(10)橋野鉄鉱山(岩手県釜石市)
(11)三重津海軍所跡(佐賀県佐賀市)
●1860~1880年代 西洋の科学技術の導入
1868年の明治維新によって、日本は中央集権体制の近代国家となりました。外国人を招いて直接技術を学んだり、日本の技術者を海外へ派遣し、現地で最先端の技術を学んだりするなど、政府主導で本格的な西洋技術の導入が進められました。
(12)小菅修船場跡(長崎市)
(13)高島炭坑(長崎市)
(14)旧グラバー住宅(長崎市)
(15)三角西港(熊本県宇城市)
●1890~1910年 産業基盤の確立
育成が進んだ国内の技術者は、導入した西洋技術を応用しながら、日本独自の技術へと発展させました。こうして、日本の近代産業の基盤が確立されたのです。そして、日本は西洋と肩を並べるほどの近代国家へ短期間で成長を遂げました。
(16)三菱長崎造船所第三船渠(長崎市)
(17)三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン(長崎市)
(18)三菱長崎造船所旧木型場(長崎市)
(19)三菱長崎造船所占勝閣(長崎市)
(20)端島炭坑(長崎市)
(21)三池炭鉱・三池港(熊本県荒尾市、福岡県大牟田市)
(22)官営八幡製鐵所(福岡県北九州市)
(23)遠賀川水源地ポンプ室(福岡県中間市)
問い合わせ:世界遺産室
【電話】829-1260