くらし 思うこと綴ります「市長コラム」

■テーマ「オーガニックビレッジ宣言」
3月11日、「オーガニックビレッジ宣言」を行いました。オーガニックビレッジとは、有機農業の生産から消費までを地域一丸となって取り組む産地のことを指します。
本市は肥沃な大地に恵まれ、県内有数の農業地帯であります。農業発展の歴史を紐解くと、戦後復興を目指す中、1961年に「農業基本法」が制定され、機械化や化学肥料の使用による収益性向上を図ることで、結果的に日本農業は飛躍的に成長してきました。
一方、化学肥料や化学合成農薬の過剰使用による環境への影響が問題視されるようになり、2000年代からは有機農業が推進されてきました。時期を同じくして「雲仙市有機農業推進ネットワーク」が設立され、有機農業の推進だけでなく、消費者や児童への理解浸透などに尽力されてきました。
有機農業への関心が高まる中、気候変動に伴う大規模な自然災害や温暖化、生産者の減少といった新たな課題に直面します。これらを克服するため、国は2022年、「みどりの食料システム法」を策定し、2050年までに有機農業の耕作面積を全体の25%に拡大するほか、化学農薬使用量の50%低減などを目標に掲げています。
本市としましても、将来にわたって安心して暮らせる地球環境の継承につなげていくため「有機農業の推進」「環境保全型農業の拡大」「伝統野菜の継承」「学校給食への導入」といった4つの目標を掲げて昨年6月、「雲仙市有機農業推進協議会」を設立しました。
本市では古くから環境に配慮した農業を実践されている先駆的な農業者がいることから、共感する新規就農者も増えています。基幹産業である農業を守り育てていくため、「オーガニックビレッジ宣言」を一つのきっかけとして、生産者だけでなく消費者へも関心を広げ、農業振興と関係人口拡大につなげていきたいと考えています。