健康 健康一口メモ 464号

◆「慢性腎臓病とは」
・岩永医院 岩永真一

腎臓は腰の辺り、左右2個ある臓器です。握りこぶしくらいの大きさですが、毎日200Lもの血液をろ過し、老廃物を尿として体外に排出して、体の中をきれいに保ちます。その他にも、体の体液(水分)量や、カリウムなどミネラルを調整する、体の酸性・アルカリ性のバランスを保つ、血液を作るホルモンを作るなど、様々な働きをしています。
歳を重ねると内蔵器の様々な働きが落ちていきますが、その一つに腎機能があります。最近、腎臓の働き(GFR)が60%未満に低下、又は尿蛋白が出るといった異常が続く慢性腎臓病(以下、CKDと記載)という病気の概念が注目されています。CKDが進行すると末期腎不全となり、透析が導入される事になります。
また、CKDの発症には高齢化以外に、高血圧や糖尿病、脂質代謝異常といった生活習慣病や運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどの関連が大きいと言われています。加えて、肥満も関連があると言われています。
慢性透析療法を受けている方は、2023年12月31日の時点で、人口100万あたり2762.4人となっています。新規の透析導入の原因として、1番が糖尿病性腎症、2番が腎硬化症(高血圧などが原因)となっており(一般社団法人日本透析医学会「我が国の慢性透析療法の現状」による)、やはり生活習慣病のコントロールが重要と言えます。また、塩分過多も腎臓に負担をかけるといわれており、減塩も重要です。
CKDには貧血や疲労感、むくみなどの症状がありますが、初期にはほとんど自覚症状はありません。そのため、症状が現れた時には、病気が進行している可能性があります。加えて、CKDは心臓病や脳卒中などの心血管疾患にもなりやすい事が明らかになっています。
CKDを早期発見、進行を予防するために、定期的に尿検査や血液検査を受け、現在通院加療中の生活習慣病の加療継続、ない方は規則正しい生活を心がけましょう。