- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県山鹿市
- 広報紙名 : 広報やまが 令和7年6月号
山鹿灯籠は、国指定の伝統的工芸品であり、室町時代から続く技術と技法をもとに灯籠師によって和紙と少量の糊だけで制作されています。
山鹿灯籠民芸館の建物は、1925年に旧安田銀行山鹿支店として建設され、ことしで100周年を迎えます。過去には、肥後銀行山鹿支店として活用されていたことや、昨年20年ぶりに紙幣が改刷されたことを受け、今回「日本銀行本店」を山鹿灯籠として制作することになりました。
構想から完成までは約半年。通常は自分の工房で自分の作品を制作されますが、今回は中島灯籠師の工房で4人一緒に制作されました。日頃はライバルでもある職人が、一緒に一つの作品を制作することは珍しく、最初で最後の取り組みではないかと田中灯籠師が話されました。また、灯籠師同士の流派が違うこともあり、制作技法や使用する道具も異なることで、最初は無事に作品を完成させられるか不安だったという言葉が、皆さんの共通した最初の感想でした。本来、山鹿灯籠は下から見上げるように制作されていますが、この作品は、上から見ると通貨単位の「円」の形に見えるため、別の視点から観覧することもできます。
ぜひ山鹿灯籠民芸館にお越しいただき、二階からこの作品をご覧ください。
展示場所:山鹿灯籠民芸館 令和8年3月下旬まで(予定)
■皆さんの完成した時の感想
○灯籠師 田中久美子(くみこ)
4分割して制作したものを合わせ、ピタッと組み合わさった時は感動でした。これで完成だという気持ちになりうれしかったです。
○灯籠師 牛嶋富士子(ふじこ)
大きさなどに圧倒され、この作品が完成するのだろうかという気持ちがあったが、良い経験をさせていただき、ありがたいことでした。
○灯籠師 中島光代(みつよ)
最初にこの企画を聞いた時は、できないかもしれないと思ったが、どうにか皆さんに支えられながら完成できてホッとしました。
○灯籠師 今村時子(ときこ)
写真を見ながら制作したため、そっくりではないが、自分たちのイメージでここはこうではないかなど、協力して完成できたのでよかったです。