文化 郷の記憶をたどる

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■浄水寺碑 附 天保(じょうすいじひ つけたり てんぽう)二年修理記念碑(国指定重要文化財)
浄水寺跡は豊野町下郷にあり、奈良時代末期(8世紀後半)に奘善(じょうぜん)という僧によって創建された寺院跡です。
浄水寺は、肥後国の定額寺(じょうがくじ)(国分寺に次ぐ寺格を有する寺院)に定められました。発掘調査によって、寺院や官衙(かんえい)(役所)にしか使われなかった瓦や、大規模建築物の礎石(そせき)が確認されています。
敷地内には、寺院の創建時期である奈良時代末期から平安時代にかけて建立された石碑が4基残されています。石に文字を彫る文化は、当時大陸から日本に入ってきたばかりで、この時期に作られた石碑は少なく、記録によると、全国で23基の石碑の存在しか知られていません。そのうち今も残っているのは17基で、うち4基が浄水寺跡に存在し、他に例を見ない重要な文化財です。
浄水寺碑の4基は、それぞれ延暦(えんりゃく)9(790)年の南大門碑、延暦20(801)年の燈籠(とうろう)碑、天長3(826)年の寺領(じりょう)碑、康平(こうへい)7(1064)年の如法経(にょほうきょう)碑となっています。また、南大門碑の北側には、天保(てんぽう)2(1831)年に行われた修理の記念碑も残されています。
4基の碑は、もともと別の場所に建てられていましたが、劣化を危惧した地元の住民が、江戸時代の天保2(1831)年に現在の場所に移し、石製の笠をかぶせ保存措置をとりました。修理記念碑には、その経緯が記されています。

◆郷土資料館
開館時間:10時~17時
休館日:月・木曜(祝日の場合はその翌日)
住所:豊野町糸石3818
【電話】45-2102

問合せ:文化スポーツ課
【電話】32-1954