くらし みんなで学ぼうじんけん

本田博通(ひろみち)地域人権教育指導員が学校で働いていた経験などから「じんけん」の今をお伝えします

■高校へバトンをわたす
ご存じですか、大阪では府立高校11校が「知的障害生徒自立支援コース」枠を設け、共に学ぶ場を提供しています。「障害のある生徒が、あたり前のように友人と過ごすことは本人の成長もさることながら、周囲の生徒の人間的な成長も大きく促します」がその教育方針です。
重度知的障害のある啓けい(仮名)さんは昨年、宇城市の中学校を卒業し、定員割れをしている複数の高校を受験しましたが、いずれも不合格。今春の再チャレンジで見事合格しました。
『今年も定員内不合格となり、残されたチャンスは二次募集のみとなりました。K高校は小・中学校で不登校だった生徒のケアなど、インクルーシブ教育的実践に挑戦していると聞き、訪問すると、「K高校を受験校候補にしてくださり、ありがとうございます」と経験したことのない言葉をかけていただき、出願へと踏み切りました』(以下『』内お母さんの啓さん通信から)
入試点数を採ることが高校進学では当たり前と思われがちですが、実は合格点でも不合格となった車いす利用の子どもたちが、裁判に訴えねばならない時代が過去にはありました。
「障害」の有無にかかわらず、全ての子どもが同じ教室で共に学ぶインクルーシブ教育は、共生社会を築く上で欠かせないものと国際的には考えられていますが、日本の教育現場では「障害」のある子どもの多くが、そうでない子どもと分けられているのが現状です。
『(入学3日目)迎えに行くと、満面の笑みで出て来た先生たちが、「啓くん、帰りたくないって言っています。学校が楽しいって」。啓は最後までクラスメイトの男の子たちが教室を出るのを見て出てくる。始まったばかりだけれど本当に良かったね。先生方に感謝だね』
共生社会の礎となる「共に学び、育つ」ことの経験。それを模索するK高校の実践を見守っていきたいと思います。

問合せ:生涯学習課
【電話】27-4300