- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県阿蘇市
- 広報紙名 : 広報あそ 2025年6月号
「熱中症」と聞くと、真夏の炎天下を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際には、阿蘇地域でも5月から9月にかけて熱中症が発生しており、夜間や屋内でも発生しています。
特に梅雨明けの時期が最も多いといいます。
6月の梅雨の時期も、湿度が高いため油断はできません。
改めて熱中症について考えてみましょう。
■熱中症の基礎知識
熱中症とは、暑い環境で体温の調整ができなくなった状態で、めまいや吐き気、頭痛、筋肉痛、失神などさまざまな症状をきたし、最悪の場合は死に至る疾患です。誰でもなる可能性があり、運動中だけでなく室内でも起こります。熱中症を引き起こす主な要素として以下の3つが挙げられます。
(1)環境…気温の高さ・湿度の高さ・風の弱さ
(2)からだ…乳幼児・高齢者・体調不良・暑さに慣れていない
(3)行動…激しい運動・慣れない運動・長時間の屋外作業・水分補給ができない
■TOPIC1 救急隊員に聞きました「熱中症の現場」
今回は、救急の現場で実際に熱中症の搬送にあたる阿蘇広域行政事務組合消防本部の救急隊員に、お話を伺いました。
○「冷房があるのに…」現場で感じた危機
「通報を受け現場に到着後、室内に入った瞬間、自分たちも汗をかくほどの暑さでした。冷房はあったものの、使われてていなかったんです」。救急隊員が語るのは、冷房の設置があっても使われていないケース。「寝る前に冷房を切って、朝起きたら熱中症になっていた」という事例も。阿蘇は涼しいというイメージから油断しやすいのかもしれません。
さらに意外なことに、発症場所は屋外より屋内の方が多いというデータもあります。「阿蘇だからだいじょうぶ、室内だからだいじょうぶ」と油断しないことが大切です。
令和6年の阿蘇市内の熱中症搬送事例では、65歳以上が半数以上を占めたそうです。特に高齢者は要注意です。
○暑さに慣れる暑熱順化がカギ!
暑さに慣れていないと、体に熱がこもりやすくなり、熱中症のリスクが高まります。これを防ぐには暑熱順化が有効です。救急隊員によれば、「汗をかきやすくなることで体温が下がりやすくなり、熱中症の予防につながる」とのこと。消防本部でも5月から順化訓練を行い、少しずつ身体を慣らしていくそうです。「市民の皆さんも、無理のない範囲で水分を摂りながら軽い運動や入浴で汗をかく習慣を始めてみてください」
◆熱中症が疑われる人を見かけたら?
1 「涼しい場所へ」
エアコンが効いている室内や風通しの良い日陰など、涼しい場所へ移動させる。
2 身体を冷やす
衣類を緩め、からだを冷やす(特に首の周り、脇の下、足の付け根)
3 水分補給
水分・塩分、スポーツドリンクなどの補給
○自力で水が飲めない、意識がない場合は、ためらわずに救急車を呼びましょう
熱中症を疑う症状がある人に声をかけても応答がない場合には、ためらわずに救急車を呼び、救急車が到着するまでの間に応急処置を始めます。呼びかけへの反応が悪い時には無理に水を飲ませてはいけません。涼しい場所へ避難し、服を緩めからだを冷やします。救急隊員が来たら、本人が倒れた時の状況を知っている人が発症時の状況を伝えましょう。
■TOPIC2 適切な予防と対処で重症化を防ぐ
○室内での予防方法
地球温暖化の影響により、屋内外問わず気温が高くなっています。
エアコンや扇風機をじょうずに使い、涼しい環境を作りましょう。
節電のために…
(1)エアコンのフィルターを清潔に保つ(2週間に1回の掃除)
(2)適切な室温設定
(3)すだれやカーテンで直射日光を遮る
○屋外での予防方法
・日傘や帽子の着用
・日陰の利用、こまめな休憩
・天気の良い日は、日中の外出はできるだけ控える
・飲み物を常に持ち歩く
○からだの蓄熱をさけるために
・通気性の良い、吸湿性・速乾性のある衣類を着用する
・保冷剤、氷、冷たいタオルなどでからだを冷やす
○こまめな水分補給
室内でも、屋外でも、のどの渇きを感じなくても、こまめに水分・塩分、スポーツドリンクなどを補給しましょう。
1時間ごとにコップ1杯、1日あたり1.2リットルを目安に飲みましょう。
■TOPIC3 クーリングシェルターを指定しています
「熱中症特別警戒アラート」が発表されている間、市民や旅行者が危険な暑さから身を守るための滞在場所として市が「クーリングシェルター」を指定し、一般に開放します。現在、市では以下の施設をクーリングシェルターとして指定しています。
※休館日 第2水曜日(5月、8月を除く)、1月1日
・飲料は各自でご用意ください。
・指定場所の温度調節はできません。
・利用できる日時・場所は、指定施設の開館している日時と指定した場所のみです。ご注意ください。
・利用にあたっては各施設職員の指示に従ってください。
・自宅で涼しい場所が確保できる場合は、クーリングシェルターへの移動は必須ではありません。