- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県竹田市
- 広報紙名 : 広報たけた 2025年2月 NO.239
■竹田の稲荷信仰
竹田には、赤い鳥居の稲荷社が数多くみられます。全国の神社総数は約8万社あり、そのうち3万社は稲荷社といわれ群を抜いています。なぜ、このように稲荷信仰は各地でもてはやされ、はやり神となったのでしょう。この稲荷信仰は、民族信仰として江戸期に諸国の大名が集まる都市で突如発達しましたが、主に商業神として、また火災の多かった江戸で「火除け」としてあがめられたようです。しかし、町の災厄として火災より切実だったのは「疫病」で疱瘡やコレラ、麻疹は恐怖の対象でした。なすすべがない病気に対して、医療の未発達な時代にそれを補完するには神仏に祈るしかなかったようです。
稲荷社は大きく分類すると神道系と仏教系があり、神道系は伏見稲荷大社が総本社で仏教系は豊川稲荷です。双方で朱の鳥居と白い狐は、稲荷のシンボルで各地の稲荷にみることができます。竹田に稲荷が増えていくきっかけになったのは、摂津から国替えとなった岡藩主中川公によってもたらされた稲荷信仰です。2代藩主久盛は、元和2(1616)年に玉来桜瀬に扇森稲荷神社を創建しています。3代藩主久清は、江戸南八丁堀稲荷橋から正一位稲荷大明神を岡城に観請し、民の命を守るため、また火災が多かった城下町に火伏神として稲荷に救いを求め、各町に稲荷社が創建されました。城下町には伝説として明暦の頃、火災の時に火をくわえた狐が大屋根を走り去ったという話もあり、今でも初午の頃「野狐祭り」が行われています。
代表的な稲荷社として一事稲荷神社、赤松稲荷神社のほか岩下火伏稲荷神社、烏嶽稲荷神社、提灯谷稲荷神社、久戸谷稲荷神社、中平稲荷神社、瑜珈稲荷神社、赤坂稲荷神社など30社を数えます。
(井上隆)