- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県竹田市
- 広報紙名 : 広報たけた 2025年4月 NO.241
■キブシ(キブシ科)
阿孫 久見
低地(ていち)から丘陵地(きゅうりょうち)の林(はやし)のふちに生育(せいいく)する高さ4メートルほどの雌雄別株(しゆうべっしゅ)の落葉低木(らくようていぼく)です。県内には2種(しゅ)あって、海岸沿(かいがんぞ)いにはハチジョウキブシがあります。内陸部(ないりくぶ)にあるキブシは、樹形(じゅけい)にまとまりがなく枝(えだ)が横(よこ)に弓(ゆみ)なりに広ひろがっています。
互生(ごせい)の葉(は)は、ふちに粗(あら)い鋸歯(きょし)があり、長楕円形(ちょうだえんけい)で長さ12センチ、幅(はば)が6センチほどで、葉先(はさき)は尾状(びじょう)にとがります。葉身(ようしん)の形(かたち)は卵形(らんけい)から長楕円形と変異(へんい)があります。
早春の頃(ころ)、葉がまだ展開(てんかい)する前に径(けい)1センチほどの鐘形(しょうけい)で淡黄色(たんおうしょく)の6弁花(べんか)を多数(たすう)穂状(ほじょう)に垂(た)らして咲(さ)かせます。花のあとに黄緑色(おうりょくしょく)の径1センチほどの楕円状球形(だえんじょうきゅうけい)の果実(かじつ)をつけ目立(めだ)ちます。
和名の由来(ゆらい)は、果実を五倍子(ごばいし)(フシの中にある多量(たりょう)の淡黄色の粉(こな)のこと)の代用品(だいようひん)に用(もち)いたため木五倍子(キブシ)の名があります。
昔はキブシの髄(ずい)を灯心(とうしん)に、果実に含(ふく)まれるタンニンを女性(じょせい)のお歯黒(はぐろ)に用いました。
竹田では里山(さとやま)の山道沿(やまみちぞ)いで、ごく普通(ふつう)に観察(かんさつ)されます。花期(かき)は3月から4月です。