くらし 第248回 郷土の植物(439)

■ミズチドリ(ラン科)
丘陵地(きゅうりょうち)から低山地(ていざんち)の日当(ひあ)たりのいい水湿地(すいしっち)に生育(せいいく)する、根(ね)が肥厚(ひこう)する高さ90センチほどの多年草(たねんそう)です。
互生(ごせい)で、ぎざぎざのない全縁(ぜんえん)の葉(は)は十数個(じゅうすうこ)つき、下部(かぶ)の葉ほど大きく線状披針形(せんじょうひしんけい)で先(さき)がとがり基部(きぶ)は茎(くき)を抱(だ)きます。長さは20センチ、幅(はば)が3センチほどです。
夏の頃(ころ)、茎の先に10~20センチの総状花序(そうじょうかじょ)をつけ、純白(じゅんぱく)の径(けい)1センチほどの小さなラン特有(とくゆう)の形(かたち)をした花を集(あつ)めて咲(さ)かせます。花は下部から次々と咲かせます。花には、いい芳香(ほうこう)がありジャコウチドリの別名(べつめい)があります。
和名の由来(ゆらい)は、湿った草原(そうげん)や湿地に生(は)え、小さな花をチドリに例(たと)えて水千鳥(ミズチドリ)の名があります。
竹田では、坊(ぼう)がつる湿原(しつげん)で観察(かんさつ)されますが、近年(きんねん)坊がつる湿原の乾燥化(かんそうか)がすすみ、ススキが繁茂(はんも)し個体(こたい)は激減(げきげん)しています。大分県の絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)。花期(かき)は6月から7月です。
阿孫 久見