子育て 山香病院だより vol.202

■こどもの鉄欠乏と、たんぱく摂取不足/糖質過剰による症状
小児科部長 半田陽祐(はんだようすけ)

・集中力がない
・喜怒哀楽が激しい
・なかなか眠れない
・朝、起きられない
・頭痛、腹痛をよく訴える
・寝るときなど、足のムズムズを訴える
・皮膚や爪が弱い
・慢性的な鼻汁や咳に悩まされている
・氷など固いものをバリバリ食べる
・疲れやすい
・肩が凝る
・偏食が激しい

これらの症状に、鉄の欠乏とたんぱく摂取不足/糖質過剰が大きく関わっていると言うと、驚かれるでしょうか。
乳幼児期では、健診で落ち着きの無さを指摘されたり言葉の遅れや体幹の弱さを指摘される。小学校や中学校では体がきつくて起きられなく、気持ちが落ち込んだり学校に行くことができない。
こういった症状を訴えるお子さんは年々増加している印象があります。
もちろん、さまざまな要因を考える必要がありますが、当院では身体を適切に活動させるために必要な栄養が不足しているお子さんが多いことに注目して治療を行っています。
それが、鉄不足とたんぱく不足/糖質過剰です。
当院に来院された時点ではさまざまな診断を受けられているお子さんが多いですが、血液検査で評価を行い鉄剤内服と自宅でのたんぱく質多め、糖質が過剰にならないように注意した食事をして過ごしていただくことで、早いお子さんでは3ヶ月経たないうちに目に見えて症状が軽くなります。
人間は食べているものでできているとよく言われますが、まさにその言葉を実感します。
カロリーが不足している方はほとんどいません。むしろ過剰なカロリー摂取により脂肪肝や肥満症を発症しているお子さんは増えている印象があります。
一方で、身体の健康をまもる鉄をはじめとしたミネラルやたんぱく質が不足しているお子さんはとても多いです。外来でお子さんに必要なたんぱく質量と、たんぱく質を多く含む食材の必要摂取量の説明をすると、驚かれる保護者の方がとても多いです。
当院では起立性調整障害、便秘症、皮膚炎、喘息、花粉症などの疾患や、診断はつかないけれど困っている慢性的な症状に対して、一般的な治療に加えて身体に必要な栄養をしっかり摂ることで改善を目指す治療をご提供しています。
ここまで読まれて、もしかしたら必要な栄養が不足しているのかもしれない…と思われたみなさん。
そんなときは、小児科外来にお問い合わせください。
保護者の皆さんと協力して、お子さんが健康を取り戻すきっかけをみつけることができるかもしれません。