文化 都城島津伝承館だより

■「透漆塗物語本蒔絵煙草盆(すきうるしぬりものがたりほんまきえたばこぼん)」
本史料は、江戸時代に都城島津家で使用されていた喫煙具「煙草盆」です。盆の上部には喫煙に必要な火入れと灰吹きが納められていて、下部には煙草を入れるための引き出しが備わっています。さらに野外でも使用できるよう、取手が付いた機能的な構造をしています。装飾面では、下塗りした透明な漆の上に、伊勢物語や古今和歌集などが蒔絵(漆で文様を描き、乾かないうちに金銀粉などを蒔(ま)き付けて定着させる技法)で散らすように施されています。
本史料のように蒔絵などで装飾された煙草盆は、喫煙具としての役割だけではなく、茶会など客をもてなす席で使用する調度品としても活用され、都城島津家においても、幕府の役人や藩主を迎える場に煙草盆が飾られていたことが記録に残されています。
実用性と美しさを兼ね備えた本史料から、当時の都城島津家における生活様式や領主としての家格をうかがい知ることができます。
※都城島津伝承館は、設備整備のため2月21日(金)まで臨時休館。本史料は2月22日(土)から開催する収蔵史料展で展示

問い合わせ:都城島津邸
【電話】23‒2116