文化 [世界文化遺産登録10周年]日本の産業化の原点となった薩摩の遺産

幕末から明治期までのわずか50年余りの短期間で成し遂げた、世界でも類を見ない日本の産業化。その軌跡を物語る8県11市にある遺産群「明治日本の産業革命遺産」が平成27年7月に世界文化遺産に登録されてから今年で10周年の節目を迎えます。私たちの最も身近にある市内の3つの構成資産の魅力や見どころなどを紹介します。

■本市の3つの構成資産~日本の近代化の先駆け~
*(イメージ図)は本紙2面をご覧ください。

◆日本最初の洋式「工」場群
◇旧集成館(きゅうしゅうせいかん)
・反射炉跡
・旧集成館機械工場(現・尚古集成館)
・旧鹿児島紡績所技師館(異人館)
製鉄・大砲鋳造と造船を核とした日本初の工場群「集成館」のあった磯地区には、当時の革新的な姿をしのばせる遺構が残されています。
*地域住民や学生、市民団体などが遺産を活用したさまざまなイベントを開催し、地域を盛り上げています。

◆磯地区の「水」力の供給源
◇関吉(せきよし)の疎水溝(そすいこう)
関吉には、稲荷川から取水した当時の取水口跡が残っています。疎水溝の一部は現在も農業用水として利用されている生きた遺産です。
*地元の下田町町内会ででは「地域魅力アッププロジェクト」として清掃活動、水路沿いや道路脇の植栽と管理を続けています。水路沿いの桜並木やアジサイロードなど季節ごとの自然豊かな景観を楽しむことができます。

◆「火」力の強い白炭を製造
◇寺山炭窯跡(てらやますみがまあと)
巨大な炭窯の壁面や窯口は厚い凝灰岩の切石を円弧状に積み上げて造られており、頑強な構造であったことが分かります。
*令和元年、大雨の影響で炭窯の石積が崩落し、周辺の樹木が失われました。現在、「世界遺産寺山の森再生プロジェクト」に取り組み、昨年度はその活動の一環としてクラウドファンディング型ふるさと納税で約600万円の寄付が集まりました。11月には、地元の皆さんが育てたどんぐりの苗を植樹する予定です。

■先人たちの挑戦に思いを
(文化財課 松元さん)
強く豊かな“薩摩”と“日本”を目指して集成館事業に取り組んだ薩摩藩第11代藩主・島津斉彬公。さまざまな人がその志を受け継ぎ、日本の近代化の原動力となりました。本市の構成資産に触れると、海外との交流を通じて文化や技術を育んできた先人たちの情熱や、今も地域一体で遺産とそこに込められた夢を大切に受け継いでいることを感じていただけます。
私たちの「今」と「未来」にもつながる近代化産業遺産。登録10周年の節目を機に、身近にある構成資産を訪れていただき、近代化に挑んだ先駆者たちに思いをはせてみませんか?

■「明治日本の産業革命遺産」登録10周年記念シンポジウム
内容:保全・活用に携わった人のトークイベントや学生によるポスターセッション、保全・活用の事例発表など
期日:7月26日(土)10時30分~15時30分
場所:センテラス天文館

問合せ:文化財課
【電話】227-1940【FAX】222-8796

■「明治日本の産業革命遺産」登録10周年記念動画コンテスト
詳しくは、市かごしま近代化産業遺産パートナーシップ会議HPか世界遺産・ジオ・ツーリズム推進課【電話】216-1504【FAX】216-1320へ

問合せ:
文化財課【電話】227-1940【FAX】222-8796
世界遺産・ジオ・ツーリズム推進課【電話】216-1504【FAX】216-1320