- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県指宿市
- 広報紙名 : 広報いぶすき 2025年6月号
~あなたの歯は何本ありますか?~
そう聞かれて即座に答えられますか?総入れ歯の人は簡単ですが…。
人間の歯は乳歯が20本、永久歯は親知らずの有無により28〜32本と定義されています。
日本歯科医師会は8020運動といって「80歳で20本の歯を!」というキャンペーンをやってきました。この運動が始まった1989年当時、達成者は7%程度でした。年々健康志向が高まり2022年には51.6%に達しています。また、学童期の虫歯の数も年々減少傾向にあるようです。
このまま推移すると、何十年後には80歳・100歳でも20本どころか全部自分の歯という人が増えていることでしょう。
その一方で先天的に(生まれつき)歯の本数の少ない人の割合が増えてきています。原始人は32本ある化石がほとんどですが、現代人は親知らずが埋まっていたり元々なかったりする人の割合が増えてきています。最近では側切歯(前から2番目)や第二小臼歯(前から5番目の歯)、第二大臼歯(親知らずの一本前の奥歯)が先天的にない人も散見されるようになりました。
この現象は食生活の変化によりあまりかまない事で顎が小さくなり歯の必要性が減少してきたからでしょう。つまり、人類が「進化」する一方で歯は「退化」しているということです。将来的には人間の歯は20本程度になるだろうと予想されています。
よくかんで物を食べることで唾液の分泌が促進されます。唾液には口の中を清潔に保つ自浄作用、アミラーゼという酵素の働きによる消化作用、虫歯を防ぐ再石化作用があり、さらに抗菌作用により細菌の増殖を抑えます。
つまりよくかむことは虫歯や歯周病、口臭の予防になり、また免疫力アップや認知症の予防にも効果があると言われています。
なかなか簡単に出来ることではありませんが、皆さんの美容と健康のためによくかんで食べる習慣を身につけましょう。
いくらかんでも歯が生えてくることはありませんが…
さて何千年後・何万年後、人類の歯の本数はどうなっているのでしょうか?
そんなことより、1年後・10年後の世界情勢・地球環境の方が気になりますかね!?
今月のドクター:指宿市歯科医師会 樋渡 順一(ひわたしじゅんいち)
問合せ:指宿市歯科医師会
【電話】23-2920