- 発行日 :
- 自治体名 : 鹿児島県指宿市
- 広報紙名 : 広報いぶすき 2025年11月号
■口から始めるメタボ対策!
近年、肥満は世界的に急増しており深刻な健康問題となっています。肥満症の一つであるメタボリックシンドローム(内臓脂肪型肥満+高血圧・高血糖・脂質異常の3つのうち2つ以上)は、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病といった重大な生活習慣病の引き金となります。
最近テレビやユーチューブなどでよく目にする「大食いファイター」たちのように、あまりかまずに流し込むように食べても特殊な体質であったり訓練などにより健康的に問題がない人もいるでしょう。しかしながら、ごく普通の人が同じことをすると限りなくメタボに近づきます。メタボの大敵はもちろん食べ過ぎですが、見逃されがちなのがその「食べ方」。実はそしゃくとメタボには密接な関係があることが分かってきています。
「よくかむ」ことによる効果として
1 満腹感が得られやすく、食べ過ぎを防ぐ
2 血糖値の急上昇を抑え、内臓脂肪の蓄積を防ぐ
3 胃腸への負担を減らし、消化吸収を助ける
4 味覚が発達し、塩分や糖分の取りすぎ防止につながる
「よくかむ」ための習慣として、(1)一口あたり20~30回かむ、(2)箸をおくなどしてゆっくりと食べる、(3)食事に集中し一口一口を味わうなどが挙げられます。
「よくかむ」ことは、特別な道具も必要なく今日からすぐに始められる健康習慣です。「よくかんで食べましょう」という昔ながらの教えはメタボ対策としても非常に大切なことだったのですね。さらに「パ・タ・カ・ラ」発声訓練や舌突き出しなど舌や口の周りの筋肉を鍛える、いわゆる「舌トレ」も日常に取り入れることで、誤嚥(ごえん)による肺炎や窒息も防ぐことができます。不慮の事故である「誤嚥性窒息」の年間死亡者数は約4000人、そのうち9割以上が高齢者です。この数は交通事故の年間死亡者数より約1.7倍も多いのです。急いで食べることや餅といった粘着性の高い食べ物などは引っかけやすく、歯の残数の少ない方や義歯を使用されている人は特に注意が必要です。
毎日の食事で「よくかむ」ことを意識するだけでメタボ予防から全身の健康へとつながります。かかりつけの歯科医院で定期検診を受け、健康な歯を保つことはもちろん、自分の口に合った義歯を適切に装着することも重要です。
人生100年時代、しっかりかんで健やかに過ごしましょう!
今月のドクター:指宿市歯科医師会 中村章(なかむらあきら)
問合せ:指宿市歯科医師会
【電話】25-5050
