くらし 市長独言No.103…カモンイスと種子島

鉄砲伝来は天文12年8月25日の中国船漂着から始まりました。西暦では1543年10月6日にあたるようです。真夏ではなく、今年の台風23号が種子島の東側をかすめて伊豆諸島を襲った秋台風のころに漂着。ポルトガル人たちは赤尾木港周辺に数カ月間、滞在したのです。
ヨーロッパの南西端、大西洋に突き出たロカ岬にルイス・デ・カモンイスの詩の一節が記されています。
「ここに地終わり、海始まる」
航海者バスコ・ダ・ガマの業績を軸にポルトガルの歴史を讃えた叙事詩「ウズ・ルジアダス」の一節。大航海時代のポルトガルの詩人カモンイス(1524〜80)は、鉄砲伝来時の島主種子島時尭(1528〜79)とほぼ同年代です。
航海者たちが目指した黄金の国ジパング。種子島から再び陸が始まり、人々の交流が発展していったのです。
今年春に着任したポルトガルのジルベルト・ジェロニム駐日大使を東京・西麻布の大使館に訪ねると、「今年は大阪・関西万博で賓客が多く、種子島に行けなかったが、来年は必ず行きます」と、大使の方から、鉄砲まつりでの来島にふれました。
姉妹都市ヴィラ・ド・ビスポのことから、ペルセベス(カメノテ)の話になりました。ポルトガルでは断崖のような岩場で苦労して取る、貴重で高価な食材。種子島でも珍味としてもてはやされてはいますが、国内ではあまり一般的な食べ物としては知られていないように思います。
このほか種子島は、何が美味しいですかと問われて、ナガラメ、ミズイカ、トビウオ、アサヒガニなど海産物と、安納芋。GI(地理的表示保護制度)登録をした種子島安納芋の講釈をひとくさりしました。
来夏の鉄砲まつりに大使がみえた時には、美味しいものを提供したいけれど、安納芋もアサヒガニもまだ時期が早いし、思案をめぐらせています。