くらし 島の四季彩 ヒメヤブラン(キジカクシ科)

漢字表記:姫藪蘭
分布:北海道南西部~琉球、台湾・中国
生育地:海岸にしばしば群生
繁殖形態:実生、株分け
和名はヤブラン(ヤブラン属)の仲間で小型であることに由来します。高さ10cm程で、庭などによく植栽されているジャノヒゲ(別名リュウノヒゲ、ジャノヒゲ属)に似た常緑の多年草です。花期は夏、長さ10~15cmの花茎の先に淡紫色の小花をまばらに着けます。実(植物学上は種子)は冬に熟し、紫黒色になります。島内では、海岸付近の砂浜に多く生育し、匍匐枝を出して繁茂し、砂の移動を抑制しています。小さく可憐なため、盆栽に利用されることもあります。似た植物に、ヒメヤブランよりやや大きいジャノヒゲと大型になるヤブランありますが、両種とも島内には自生していません。属は異なりますが、ヤブランに似たノシラン(ジャノヒゲ属)が林床に自生しており、冬季には瑠璃色の光沢のある実が見られます。
写真・資料提供:香月茂樹さん(元薬草試験場長)