文化 壺屋焼物博物館

※臨時休館中3月31日まで

■所蔵資料紹介
『荒焼シーサー』
(高さ61.3cm、最大幅35cm、奥行37.6cm)
作:島 常賀(しま じょうが)(1903年~1994年)
※詳しくは本紙をご確認ください。

沖縄・壺屋焼の陶工でシーサー作りの名人として知られる島常賀氏が、1968年に制作した作品です。荒焼(基本的にうわぐすりを掛けずに形を作り、約1120℃で焼き締める壺屋焼の一種)で作られており、作者の指づかいが残る土そのものの質感と、沖縄産陶土特有の赤褐色の地肌が印象的です。屋根の上など高い位置に設置する為に制作されたのでしょう、顔は下向きにやや俯いた状態で、耳を真横に伏せ、口を軽く開いて牙をむきながら、目を見開き眼下に睨みを利かせています。
島常賀氏は那覇市壺屋で代々荒焼作りを生業とする窯元に生まれました。タックヮサー(粘土を張り付けて加飾する技法)で優れた才能を発揮し、当時は“ろくろを使えもしない半人前”と軽んじられていましたが、「一人前のタックヮサー職人になってやる」と発憤興起(はっぷんこうき)したそうです。こうした反骨精神が、氏をタックヮサー名人・シーサーの名工へと昇華させました。
生まれてから三度も戦争を経験し、激動の時代に翻弄され続けながらも、情熱を失うことなく焼物作り・シーサー作りに向き合い、生涯現役で取り組み続けた島常賀氏。氏の作品は、今なお人々の心を惹きつけています。