- 発行日 :
- 自治体名 : 総務省
- 広報紙名 : 現在・未来のくらしに役立つ情報誌 総務省 令和7年5月号
■基調講演
「独立行政法人に期待するマネジメント~民間企業におけるトップマネジメントの経験から~」
澤田道隆独立行政法人評価制度委員会委員長(花王(株)特別顧問)
◇独立行政法人内のマネジメント・内部統制の在り方への期待
・主務大臣が示す使命・ミッションを踏まえた法人自身のビジョンの明確化と実践
・社会経済環境の動きに合わせた機動的かつ柔軟な対応
・国民からの信頼確保、監事機能を活用した内部統制の強化
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主務省・法人間や法人内のコミュニケーション、法人の資産である「ヒト」が持てる力を最大限発揮できるような環境作り、社会変化に対応して変革し続ける力が求められるのではないか。
◇民間企業におけるトップマネジメントの在り方(良質な経営をするための要素)
・資産の最大活用とリスク低減を目指せる「経営デザイン」
・部分から類推し、全体を見て迅速な動きに変える「経営の大局観」
・大局観を間違わないようにするための「本質思考」
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独立行政法人のトップマネジメントの在り方にも共通するもの
◇独立行政法人評価制度委員会が果たす役割
・法人の横断的な業務運営の改善に資するよう、取組事例を収集・展開
・独立行政法人の業務・内部管理の共通的な方向性(業務の優先順位付けやDXなどによる業務の効率化を促進した上で、必要なリソースを確保すること など)を提示
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法人の政策実施機能の最大化の実現に向けて、「攻め」と「守り」の両面からサポート(法人の中期目標、業績評価等をチェックするだけでなく、積極的に取り組む法人を後押し)
■パネルディスカッション
「独立行政法人の将来像を見据えたトップマネジメント」
パネルディスカッションでは、国民生活の安定と社会経済の健全な発展に貢献することが求められる独立行政法人から、3名の理事長をお招きし、法人の将来像を見据えたトップマネジメントの具体的な取組を紹介いただいた後、パネリストによる活発な議論が交わされました。ここでは、その概要を紹介します。
[各法人の取組概要]
◎教職員支援機構 荒瀬理事長 「NITSの試行錯誤」
・小規模法人ながら、全国108万人もの「教職員の資質の向上」というミッションの達成に向け、職員が、関係者と連携・協働しながら主体的かつ意欲的に仕事ができるよう、試行錯誤
・職員の探究的な学びを支える健全な職場環境づくりや仕事のやりがいを高めるため、可能な限り仕事を委ね、信頼し、しっかりコミュニケーションをとるマネジメント
◎医薬品医療機器総合機構 藤原理事長 「PMDAの将来像実現に向けた、トップとしての取組み」
・PMDAでの仕事を通じて「人々の健康を守る」、「医療などの現場をよりよくする」との使命やモットーを職員に発信
・全職員との面談を通じて組織の課題を把握した上で、10年後を見据えた組織目標の設定、ガバナンスの再構築、DXの推進等を実施
◎農業・食品産業技術総合研究機構 久間理事長 「農研機構の研究開発戦略 ~理事長として目指すもの~」
・農業・食品版「Society 5.0」のスピーディな実現のため、組織目標を提示し、徹底的な組織改革を実施、AI・データを研究に導入
・産業界・農業界との連携強化により機構の技術の実用化と普及を促進するとともに、組織のプレゼンス向上のため、戦略的広報を実施。また、人材の流動化を目的としたマルチ人材育成プログラムを開始