- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道札幌市
- 広報紙名 : 広報さっぽろ 2025年7月号
文化財や過去の面影が残る場所をブラサトルこと和田 哲(わださとる)さんと巡り、札幌の歴史や成り立ちを紹介します。
■アンパン道路
▽「アンパン道路」の由来
明治44(1911)年に完成した、月寒地区と平岸地区をつなぐ約2・6kmの道路。「当時、豊平町の役場が、平岸地区に近い豊平地区から月寒地区に移転したことで、平岸地区に住む人は役場が遠くなって困りました。そこで、陸軍の兵士の協力を得て、道路の建設が始まったんです」と和田さん。住民が兵士に感謝し、おやつとして1人につき1日5個のアンパンを配ったことで、自然とアンパン道路と呼ばれるようになりました。今でもアンパンは月寒の銘菓として親しまれています。
▽今も残る感謝の気持ち
「坂道が続くので、歩くのが大変です。現代なら、多少遠回りでも歩きやすい道路を造るかもしれませんが、当時はとにかく距離を短くしたかったのでしょうね」という和田さんのお話の通り、約4カ月で造られたこの道路は決して平たんではありません。
しかし、道中の看板や電柱には道路の名前が記されているほか、望(も)月寒川に向かって坂道を下ると「アンパン道路」と書かれたひときわ大きな石碑が。「看板や石碑が作られ、これほど愛されている道路は珍しいです」という和田さんの言葉からも分かるように、急な勾配にもかかわらず道路を造ってくれた兵士への感謝が、今も残っています。
・当時の月寒地区と平岸地区の境界があった、望月寒川の近くにある石碑
・「アンパン道路」と記された木材に囲われている電柱
・「曲がりくねった道は歩いていて楽しい。曲がった先に何があるのかとわくわくします」と和田さんは案内してくれました
・道路の至る所で「アンパン道路」の文字を見つけられます。探しながら歩くのも楽しいですよ
和田 哲さん(ブラサトル)
札幌市出身。広告代理店や出版社勤務を経て、札幌や北海道の歴史と地理を解説する街歩き研究家として独立。講演やテレビ・ラジオ出演などのほか、YouTube(ユーチューブ)で動画を配信中。
詳細:広報課
【電話】211-2036